法曹養成制度改革顧問会議第一回議事録~6

納谷顧問(座長)

・皆さん、お手元にペーパーを御用意して、それぞれの組織からある程度意見の集約を受けながら発言されているところもあると思いますが、この顧問会議は飽くまで検討会議で決まったことを推進するためのものであります。検討がまだ残っているところはいろんな機関でそれぞれ検討しなければならないわけですし、出てくる結果を受けて更に決めていかなければならないことはあることは確かですが、全てのことをここで検討することで逆戻りすることはできないと私は思います。

(坂野のコメント)

法科大学院批判が思ったより多かったせいか、検討会議では法科大学院制度を維持することが前提であることを再確認しようとしているようです。納谷顧問のお立場(前明治大学学長)からすれば、法科大学院維持が前提の検討ですよと釘を刺したくなる気持ちも分かります。しかし、法科大学院制度が誰の目から見ても優れた制度ならその制度への批判が痛烈になるはずがありません。わざわざ釘を刺さなければならないのは、それだけ法科大学院への批判が痛いところを突いているからだろうと思われます。

・プロセスとしての法曹養成。この観点をもう一度思い出していただきたいということと、プロセスとしての法曹養成は法科大学院だけの問題ではありません。司法試験、司法修習、実務修習といいますか、その終わった後も。それぞれの分野に入った後の修習のことも全部踏まえて、どういう具合に法曹を養成するかということが大切ではないか。この原点を忘れないで議論していく必要があるのではないか。常に、この原点に戻っていく必要があるのではないか。

もう一つは、法曹養成の在り方については「点」という司法試験の結果だけで我々は苦労してきたことですので、こういうことで逆戻りはできないと、すべきではないと思っています。

(坂野のコメント)

法科大学院側が何時も振り回す、「プロセスとしての法曹養成」がまた出てきました。しょっちゅう「プロセスとしての法曹養成」という言葉は出てきますが、何を意味するのか、どういうメリットがあるのか、現実にどのような成果を上げているのか、未だに、国民の皆様に対し、納得できるようにきちんと説明できた方はいないように思います。納谷顧問には、是非ともそのあたりを誤魔化さずに、具体的にその実態とメリット、成果を示してもらいたいものです。

それも示すことができずに、「プロセスによる法曹養成が必要」と連呼しても、法曹養成制度において、法科大学院制度を中心とする必要性についての説得力はありません。単に法曹養成制度に大学を参加させてくれると言ったじゃないか、それを守ってくれなければ大学側としたら困るんだ、といっているのと変わらないのではないでしょうか。

また、仮に、従来の「点による選抜」がダメであって、その反面、プロセスによる法曹養成が素晴らしいものであり、本当に成果を上げているのであれば、有田顧問が現場で感じた、自分の頭で考えて決断することに欠けている若手法曹が目立つはずがないと思うのですけれど。

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