法曹養成制度改革顧問会議第一回議事録について~1

法曹養成制度改革顧問会議の第一回議事録が公開されています。

http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/hoso_kaikaku/dai1/gijiroku.pdf

ちなみに、顧問の面々は次の通りです。

座長納谷廣美大学基準協会会長・前明治大学学長

阿部泰久一般社団法人日本経済団体連合会経済基盤本部長

有田知德弁護士・元福岡高等検察庁検事長

宮﨑誠弁護士・元日本弁護士連合会会長

山根香織主婦連合会会長

吉戒修一弁護士・前東京高等裁判所長官

議事録の詳しい内容は、PDFファイルのリンクを見て頂くとして、そこそこ面白い発言も出ているので、抜粋してみたいと思います。

※一部の抜粋なので、文脈を含めた正しい内容は公開されている議事録を、必ずご確認下さい。

阿部委員

・よく誤解されるのですけれども、法曹人口3,000人ということに対して、少なくとも経団連から何か物を申していることはございません。経済界からは、例えば経済同友会さんあるいは経営法友会さんから法曹人口を増やせという提言があったかと思いますが、経団連から法曹人口を増やせということは一度も言っておりません。裁判官の数を増やせということは言っておりますけれども、法曹人口の具体的な数字はコミットしたことはございません。ただ、平成14年に司法制度改革推進計画が閣議決定されましたときには法曹人口の拡大の記載を含めた一体のものとして経団連は支持しておりますので、そういう意味ではコミットはしているかなと思います。

(坂野のコメント)

ちょっと私も誤解していました。マスコミがこぞって経済界も法曹人口増大を望んでいると報道していた記憶があるのですが、何と経団連は裁判官の増員を望んでいたが、法曹人口全体の増員までは言っていなかったということでしょうか。司法制度改革推進計画に賛成しているので、結果的には法曹人口全体の増加にも賛成したことにはなるのでしょうが。

ちなみに、経団連と経済同友会の違いですが、

経団連は、「使命は、総合経済団体として、企業と企業を支える個人や地域の活力を引き出し、我が国経済の自律的な発展と国民生活の向上に寄与することにあります。このために、経済界が直面する内外の広範な重要課題について、経済界の意見を取りまとめ、着実かつ迅速な実現を働きかけています。」(経団連HPより。)、と述べているようです。

経済同友会は、「企業経営者が個人として参加し、自由社会における経済社会の牽引役であるという自覚と連帯の下に、一企業や特定業種の利害を超えた幅広い先見的な視野から、変転きわまりない国内外の経済社会の諸問題について考え、議論していくところが、経済同友会最大の特色です」(経済同友会HPより。)、と言っています。

以上からすると、経団連は経済界の意見として裁判官増員は述べたけど、法曹人口増大までは望んでいなかった?、経済同友会は企業経営者個人の集まりとしては法曹人口増大を望んでいた、ということになるのでしょうか。

・そういう意味では、司法試験合格者の数の問題はもちろんでありますが、やはり法科大学院の在り方をここで思い切って考え直さねばならないと思っております。実は私、当初、法科大学院ができましたときの議論にも参加しておりましたが、こんなに法科大学院を設立して大丈夫かという話は当初からありました。ただ、文部科学省としては、基準を満たしたものは認可しなければいけないので、あとは自然淘汰を待つという考え方だったと思いますが、自然淘汰では済まなくなっているかなと思っております。

(坂野のコメント)

さすがに経団連の代表として出席されているだけあって、問題点は法科大学院の在り方であるとずばり指摘されています。私が疑問に思うのは、当初から設立数を含めて問題があるのではないかと指摘されていた法科大学院制度を何故拙速に強行したのかという点です。殆ど海外の状況も調査せず、見切り発車的に法科大学院制度導入に動いた点は、大いに反省の余地はあるでしょう。

でも、どなたがこの混乱を招いた責任を取るのでしょうか?

・(司法修習に関して)一つは、今、司法修習については最高裁に非常に御尽力いただいているわけでありますが、そもそも法曹の入り口の司法修習でございますので、最高裁だけに責任を負わせるのはいかがなものかと。法曹界全体、即ち検察、弁護士会も含めまして取り組むべき課題ではないでしょうか。二つ目は、今の司法修習のままでは、修習後いきなり実務につくことは無理があるのではないかと思っております。当初、法科大学院の中で、実務的な議論、講義も行う前提で司法修習ではなるべく短期間で必要最小限なものという仕組みだったと思いますが、これだけ合格者数のばらつきがある中で、修習生をいきなり実務の現場に行かせても、教育が十分できるのか疑問もあります。

(坂野のコメント)

阿部委員は、法律関係の著書も多く、金融審議会専門委員も務められています。相当程度法曹界にお詳しい方と考えてもいいのではないかと思われます。その阿部委員が、今の司法修習のままでは、司法修習後、いきなり実務に就くのは無理があると指摘している点は重要だと思います。これも、法科大学院が実務的な内容もきちんと教育するといっていた部分が反故にされている結果、生じている事態とも考えられ、安易に自らの教育能力を買いかぶっていた法科大学院推進派大学教授の方々の甘い考えが招いた事態ともいいうるかもしれません。佐藤幸治氏は大学でも予備校のような授業をやろうと思えばやれるのだ、と豪語していたように記憶していますが、結果は(制度全体として見れば)それすらもできなかった、惨敗だった、といったところでしょう。

(続きます)

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