司法試験委員が法科大学院に求めるもの~知的財産法

今回は、知的財産法を取り上げる。

(採点実感に関する意見から引用)

5 今後の法科大学院教育に求められるもの

論点の内容についてはそれなりに記載されているものの,実務において重要な事実関係の把握・分析が不十分と思われる答案が多かった。法科大学院は実務家を養成する教育機関であるから,論点中心の教育ではなく,実際の訴訟等を想定して,具体的事案の中から,実務家なら当然なすべき主張を抽出し,それについて的確に論述する能力を広く養うような教育が求められる。
また,明文の規定があるにもかかわらず,条文を指摘せずに解釈論を展開する答案が多数あったが,条文解釈が基本であるから,条文を前提とした解釈を意識した学習を指導することが求められる。
さらに,最高裁判例や判断基準を示す裁判例があるにもかかわらず,その判旨を全く無視して自説を展開する答案も目立った。繰り返しになるが,法科大学院は実務家を養成する教育機関なのであるから,判例を念頭に置いた学習を常に心掛けることが望まれる。

(引用ここまで)

【超訳】~司法試験委員がいいたいことを推察しての私の意訳

5 法科大学院教育は何やっとんねん

 あかん、出来てへんで。論点の内容についてゆうたら、そこそこ書く奴はおるみたいや。せやけど、事実関係の把握、分析が全然あかん。事実関係の把握、分析は実務で言うたらイロハのイやで。そんな重要なところがさっぱりや。法科大学院ちゅうたら、実務家を養成するとこやろ?国民の皆様に、「実務家を養成できます、教育して実務家を養成します、」って約束して税金を頂いとるとこやろ?それを論点中心の教育にしたらあかんがな。そもそも、大学側は言うとったわな、予備校は論点主義やからあかんって。せやけど、あんたらのとこで教育受けてきたはずの受験生が論点主義としか思われへん答案しか書けてへんで。

 法律実務家を養成するのが法科大学院の使命やねんから、実際の訴訟なんかを想定して、具体的な事案の中から、実務家やったら当然ここに目をつけてこんな主張するやろな~っちゅうところを見抜くこと、ほんで、そこんところを的確に論述できるように教育してもらわなあかんやん。

 それだけやないで、きちんと法律の条文があるのに、条文を指摘せんと解釈論だけ振り回しとる答案が、仰山あったで。ちょっとと違うで、仰山やで。法律家っちゅうたら法律を使う仕事やろ、法律は明文で条文として書かれとるんやろ。それやったら、先ず条文にどう書いとるのかっちゅうことが全ての出発点やないか。条文を指摘せんと解釈論を振り回すっちゅうことは、覚えてきた論点を吐き出しとるだけなんとちがう?ホンマ、しっかりやってもらわんとあかんで。

 駄目出しばっかしで、ホンマはもう言いたないけど、大事なことやから言うとくで。実務家にとって、法律の解釈や似たような事案で、裁判所がどないな判断をしとるのかは、めちゃくちゃ大事やねん。最高裁判例や下級審判例で、今回の試験問題に使えそうな裁判例が幾つも出とったんやけど、その判旨を無視して独自の見解を振り回す答案も多かったんや。実務にとって判例が大事なんやから、実務家養成をする法科大学院は、当然判例をきちんと教えとかなアカンわな。何回も何回も繰り返しになるけど、判例を頭に置いて教育してもらわな困るで。常にそこは心がけてや。

(続く)

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