ディクテーター~独裁者 身元不明でニューヨーク

(ストーリー)
ワディヤ共和国の将軍アラジーンは、力いっぱい独裁者である。アラジーンは、核兵器開発疑惑の釈明を求められ、国連サミットに出席するためニューヨークを訪れる。しかし、そこで何者かに拉致され、ヒゲをそられてしまう。その頃将軍の側近は、将軍の影武者を使い、裏で石油利権を狙う中国資本・石油メジャーなどと手を組んで驚きの民主化宣言をしていた。将軍の威厳を失ったアラジーンは、反撃の機会を狙い、スーパーの店員として潜伏することに。

多少下ネタも、不謹慎なネタもある、R15指定の映画だが、かなり笑わせてもらえる。しかも笑わせるだけではないところが良い。

アラジーン将軍は言う。

「アメリカが独裁国家になったらどうなる?」

「上位1%の富裕層が国の富を独占する。金持ちに減税し金融危機を引き起こした銀行を国税で救済する。庶民の教育費や医療保険は援助しないのに。囚人を拷問する。国民の電話を盗聴する。選挙で投票数を誤魔化す。国民に嘘をついて戦争を起こす。メディアは裏で1人の人物に支配され、国民の利益に反する投票を促す。誰も文句を言わない!」

民主主義国家を標榜するアメリカで実際に生じている病理現象をネタにした痛烈な風刺だ。独裁者は、現代では、1人の人間ではなく、民主主義の仮面をかぶり社会機構として命脈を保っている(若しくは復活しつつある)ということか。
民主主義の名の下に、独裁国家よりひどい状況が生じようとしているのではないか。それは民主主義という誰も非難できない外観を持つだけに、その裏に隠された残酷な状況を見過ごしているのではないか、そのような指摘をこの映画は押しつけがましくなく提示しているような気がする。

ニューヨークのスーパーでのアルバイトと恋愛経験によって、帰国後に良い将軍に変わってくれるのかと思えば、さにあらず。変に教訓的でないところも気に入った。

これだけ面白い映画なのに、関西地区では京都で1館、大阪・兵庫で2館ずつの上映。しかも、明日(21日)の上映で終わってしまうところが多そうなのが残念。

公式サイトは以下のURL

http://www.dictator-movie.jp/

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