映画 「聯合艦隊司令長官山本五十六」

 二〇三高地、八甲田山など、父親に連れられてみたせいか、私は、このような映画も好きな部類にいれている。

 「太平洋戦争70年目の真実」

 というのが、この映画の副題である。

 とはいっても、特にびっくりするような真実があるわけではなかったように思う。普通に戦艦・戦闘機好きだった私でもよく知っているようなお話が続くのだ。マニアの方には、かなり物足りない内容かもしれない。

 予告編・特報で見た戦艦長門の格好良さから、おそらくCGで再現される連合艦隊の艦船・飛行機群は素晴らしいだろうと思っていたし、その期待に添う内容だったように思う。

 しかし、私が思うに、山本五十六という人物を描くにはあまりにも時間が短すぎたのではないか。開戦前からブーゲンビル上空での戦死までを一本の映画に詰め込もうとしたため、山本五十六の人物像がどうしても希薄になってしまった感が否めない。

 開戦慎重論から、鬼気迫る黒島参謀による真珠湾作戦の立案、作戦決行か否かで相当揉めたはずの真珠湾攻撃、そして最も劇的な勝利となるはずが、外務省の宣戦布告通告の遅れで卑怯な奇襲とされてしまった過程に絞って、映画化すれば、もっと深みのある描写等が出来たのではないだろうか。

 役者揃いの上に、CGによる連合艦隊の素晴らしい復活がなされていただけに、個人的には、惜しい映画だと思う。

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