法曹養成フォーラムの岡田委員の誤解?~その2

(前回の続きです。)

 弁護士は、これまでの経験から、消費者被害事件では、事件化しても被害回復が困難であることが事前に予想できることが多く、そのような場合、既に消費者被害にあった方に、更に、被害回復につながりにくい弁護士費用の負担をさせることが忍びないので、消費者被害を事件化することが少ないのだ。

 弱者切り捨てではなく、弱者をさらに辛い場面に追い込まないために、敢えて事件化を勧めないのだ。

 前述のような事態を避け、消費者被害の回復を可能にするには、資力がない者でも必死になって被害回復しなければならない法制度・資産の隠匿を許さない法制度を作るか、クラスアクションを導入するなど費用対効果をプラスにできる訴訟制度を法律で作るか、資力に乏しい人の弁護士費用を税金・保険制度で負担するか、などの方法以外には、ないように思う。

 これまで消費者系と呼ばれる弁護士の方は、手弁当で多くの事件を解決してこられた。ほとんどがボランティアに近い自己犠牲的活動だったはずだ。

 自己犠牲的とまでいかなくても良心的な弁護士は、被害額・回収見込みがあるかどうかも含めて検討し、費用倒れになる可能性が高い場合は、その旨を正直に伝えて依頼者の方に判断して頂いているはずだ。私は、10年以上弁護士をしているが費用倒れになっても良いから提訴して欲しいと言われたことは、わずか数回だ。

 だから弁護士を増やしても、それだけでは、消費者被害は一向に解決しないのだ。

 自由競争すべきだとの理由で弁護士を激増させると、消費者系の弁護士の方もボランティアをする余裕がなくなるため、手弁当で消費者のために戦う弁護士さんは激減するだろう。そればかりではなく、食うに困った弁護士が、自分の儲けだけを考えて、被害者に対して、勝訴可能性をちらつかせ、無理筋の事件を事件化して弁護士報酬を得る方向に向かう危険性の方が遙かに高いのだ。なぜなら自由競争社会とは、儲けた者勝ちの社会だからだ。

 まず、消費者被害も救済できる法制度、資力に乏しい人でも安心して弁護士に依頼できる制度、勝訴判決によって賠償を命じられたら何が何でも支払うよう頑張らせる制度、これらの制度を整備することが先なのだ。

 そこのところを、岡田委員は誤解されているのではないだろうか。

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