新司法試験と予備試験の合格者~その2

(続き)

 昨日書いたように、新司法試験の合格者数を決定する基準は、おそらく、司法試験法に記載された「裁判官、検察官、弁護士となろうとする者に必要な学識およびその応用能力を有するかどうかを判定する」という基準ではなく、閣議決定と質の維持の双方をなんとかバランスを取れる範囲で、政策的に決定されていると考えられる。平たくいえば、本来、法曹になれるだけの必要な学識と応用能力を判定するはずの新司法試験が、合格者の数あわせのために合格基準をゆるめていると、いうことだ。

 一方予備試験の合格者はどうか。伝聞情報によると、予備試験合格者決定会議では合格者数の案が幾つか配布され、その中で、今回の合格者数が決定されたそうだ。

 予備試験の合格者の点数を見てみると、、500点満点で、全国最高点が301点である。

 法務省が発表した予備試験の論文式試験での採点に関する文書によると、

 優秀:50~38点(5%)、

 良好:37~29点(25%)

 一応の水準:28~21点(40%)

 不良:20~0点(30%)

となっている。

 全国最高点取得者の得点率は約60%なので、平均すると「良好ぎりぎり」の点数しかとれていないことになる。

 もともと司法試験予備試験は、新司法試験を受験させて良いかどうか、つまり、法科大学院修了者と同程度の学識と応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定する試験である。

 予備試験の結果からすれば、予備試験全国最高点合格者の成績は、法科大学院修了者として良好ぎりぎりの成績ということにならざるをえないだろう。逆に言えば、この予備試験最高点合格者よりもはるか多くのに優れた法科大学院修了者がいるということにならないとおかしい。

 本当に、法科大学院が優れた教育を実施し、厳格な修了認定をしていると豪語するなら、予備試験問題を全国の法科大学修了生に受験させてみたら、いいだろう。おそらく、予備試験の合格点をとれる法科大学院生はごくわずかなはずだ。

 つまるところ、予備試験は、本来法科大学院卒業生レベルの学識・応用能力、法律実務の基礎的素養があるかを判定するといいながら、基準を厳格に設定しているはずだ。平たくいえば、法科大学院制度を守るために合格者を政策的にごくわずかに絞っていると考えられる。

 法務省に言いたいことは、次の新司法試験では、予備試験合格者で司法試験を受験した人の合格率、合格点分布を必ず出してほしいということだ。わずか120名あまりだから簡単にできるはずだ。

 万一、比較をしないというのであれば、それは、法科大学院を守るために現実を隠蔽しているということだ。

 法務省の良心に期待する。

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