秋の気配

 まだまだ暑いのに、秋の気配とは!、とお叱りを受けるかもしれない。

 通勤途中に、大阪市役所の前を通るのだが、そこには、水を霧状に散布して温度を下げるミスト作戦を行っている。大阪市内が朝っぱらから30度以上になることは日常茶飯事なので、既に太陽に熱せられた歩道を歩く私にとって、そのミストは、十分に有り難い。歩行者も出来るだけミストの近くを歩いているように見える。心なしか、市役所前の植木も、そのミストがかかるあたりは、他より元気そうにも見える。

 昨日の21時頃、子供の寝る時間とはいっても、まだまだ暑さが消えない大阪市役所前の歩道を、私は、淀屋橋駅に向かって歩いていた。すると、コオロギの鳴き声がミストがかかる植木のあたりから、聞こえてきた。短く2度ほど鳴いて、すぐにその鳴き声は消えた。歩く速度を落としてみたが、もう聞こえない。

 多分、私以外の誰も気にも留めていなかったとは思う。しかし、私が耳にしたのは、間違いなく、コオロギの、あの優しい鳴き声だった。

 週末に深夜上映の映画を見て、帰宅するときの夜空には、オリオン座が既に大威張りで現れているように、季節は確実に変わりつつある。

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