法曹養成制度に日弁連が緊急提言をするらしい。

 当職のツイッターではすでにご紹介済みですが、法曹養成制度に関して日弁連が緊急提言をする動きがあります。

(当職のツイッターは、少年事件サイトのトップ頁http://shonen.idealaw.jp/からも読めます。)

 詳しい内容は、取扱注意会内限りの案文ということで、このブログでご紹介できません。ただ、この緊急提言は日弁連名で出されることになると思いますが、総務省の法曹養成制度に対して出された日弁連名の意見書と同じで、本当のところは現実の日弁連の総意を表した意見書では決してないということです。各単位会に意見を聴取したわけでもなく、会員の意見を聞いたわけでもありません。もちろん、総会で決議を経たわけでもありません。

 しかし、日弁連内の法曹養成検討会議の意見がほぼそのまま、正副会長会議での決議の上で、出されることになるようです。

 こういうやり方は、(私の立場から言えばですが、)言っちゃ悪いが、伝統的な日弁連主流派がよく使いがちな日弁連(旧?)主流派の、ずるこいやり方のように思えます。

 法曹養成検討会議の委員選任の時点から、(日弁連が一度は賛成してしまった)現行の法曹養成制度にシンパシーを持つ委員を選任し、若しくは各単位会でそのような委員を推薦させ、その委員達が集まって「現状維持+若干の手直し」路線の意見書を作る。そして、その意見書を日弁連の意見として公表し、少なくとも外部から見た日弁連の方向性を固めてしまう。

  そうなると、法曹養成制度に関して、どんなに問題点が噴出していようと、多くの会員が路線変更に賛成していようとも、「日弁連は現状維持路線と言っていたじゃないか」と外部からの圧力がかかります。

 確かに全ての問題について、各弁護士会の意見や弁護士個人の意見を聞かなければならないとすれば、日弁連は意見書すら出せなくなってしまいます。しかし、総務省のパブコメでも、法曹を含む相当多くの方が現状の法曹養成制度に問題点があると指摘されているのですから、明らかに会内で相当意見を異にする問題についてまで、どんどん日弁連名の緊急提言を出すことは、果たして適切か疑問があります。

 ちなみに、法曹人口政策会議においては、宇都宮会長を含む会議の全委員が加入しているMLがあります。総務省のパブコメに日弁連名で意見書が出た際に、私は誰がどういう権限で出したのか教えて欲しい と質問しました。

 回答は、「従前の意見書等の範囲内であれば、正副会長会で承認の上、提出するという取扱いになっており、本意見書についても、1月19日の正副会長会で審議され、承認がなされた上で、総務省に提出しました。」というものでした。

  結局、どこの誰が、総務省に文句をつけるように言い出したのかまでは、残念ながら明らかにはなりませんでした。しかし、日弁連執行部には、こういう伏魔殿のようなところがあります。宇都宮会長は派閥の後ろ盾がない会長なので、伏魔殿の中では孤軍奮闘に近い状況にあると推察されます。 

 しかし、宇都宮会長は、昨年の日弁連会長選挙で、旧主流派候補を破って当選したのです。日弁連会員は宇都宮会長を支持したのです。相変わらず日弁連執行部の大勢を旧主流派が占めているようですが、 旧主流派の圧力に負けず、宇都宮会長には、是非頑張って頂きたいと思います。

※記載内容については、全て執筆者の個人的な見解に基づくものであって、当事務所の統一した見解・意見ではありません。

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