某国での仮定のお話~1

某国の話である。

仮に、某国で某国新聞協会に加入しないと各新聞社は新聞を発行できない制度があったとする。その制度のもとで、某国新聞協会が、各新聞社は国民の知る権利に奉仕する存在だから、希望する全ての国民に新聞を届けるべきだと考えたとする。

そこで、某国新聞協会が、新聞購読扶助制度と称して、一部国の援助を受けながら、お金がないという理由で新聞を買えない人のために、各新聞社から協会費に含めて半強制的にお金を徴収し基金を作って、新聞を買えないが読みたい人のために新聞を買えるお金を立て替え、かつ、そのような人に対する新聞料金を大幅値下げする、と某国新聞協会が決めて実行させるとする。

何か問題はないだろうか?

さらに制度が進展し、某国の国自身が新聞購読扶助制度を行うので各新聞社がその実行に協力を求められ、そればかりか、某国が某テラスという機構を作って直接新聞を発行し、新聞を買えない人に配布もするので、そのスタッフ養成費用を某国新聞協会で負担するとなるとどうか。

問題はいくつも考えられる。

そもそも新聞を買うお金のない人に新聞代を立て替えてあげても、そのお金はどこまで返してもらえるのか。
 仮に立て替えてあげることが正しいとしても、どうして新聞購読扶助制度を利用する人の新聞代だけ安くする必要があるのか、同じサービスを受けるなら同じ負担をするのが公平なのではないか。

いくら国民の知る権利に奉仕する仕事に従事しているとはいえ、どうして民間事業者である新聞社が、費用を負担しなければならないのか。

本当に国民がお金がなくても新聞を読みたいと考えるのであれば、国会の決議により税金を投入するなどして全面的に国家が行うべき費用援助事業ではないのか。

新聞の値段を引き下げかねない新聞購読扶助制度になぜ新聞社は協力しなければならないのか。

そもそも某国が某テラスを作って新聞発行をするのは民業圧迫ではないのか。

どうして民間事業者である新聞社が商売敵になる某テラススタッフ養成の費用負担までしなければならないのか。

さらに某テラス新聞は権力に隷従しないという保障はあるのか等々、いくらでも問題が見つかりそうである。

ところで民事法律扶助制度とは、裁判を提起したり弁護士に依頼したいが費用がない人たちに税金も投入して、弁護士費用等を立て替え払いする制度だ。

 本来弁護士費用の引き下げは目的ではなかったが、利用しやすい司法の美名のもと、民事法律扶助制度において弁護士費用の引き下げも行われている(つまり、法律扶助制度を使った場合、弁護士費用は従前の弁護士費用より相当額減額された額しか弁護士には支給されない。)。

私が弁護士になった頃も、確か民事法律扶助を弁護士会が中心(一部、国の援助があったはず)に行っており、弁護士会費から法律扶助のために相当なお金が出ていたようにも思う。詳しい制度内容は知らないが、私の記憶が正しければ、弁護士会は、会費を強制的に集めて弁護士費用がない人のための立て替え事業を行い、その事業に関する弁護士報酬の引き下げまで行ってきたといえそうだ。

ところで、先日、民事法律扶助制度を中心になって行っている法テラス大阪から、驚きの書面が届いた。

(続く) 

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