総務省~法科大学院の評価に関する研究会報告3

(昨日の続きです)

 総務省の報告書の法科大学院に関する意見について、引き続き、現実を見据えていると思われる意見を抜粋します。

【法科大学院について】

③教育内容

・現行の法科大学院では、司法試験のための勉強が中心にならざるを得ず、例えば、家族法の専門家などを養成しようとしても出来ない。

・逆説的だが、法学部の段階では司法試験に関係のない真の法律の勉強をし、法科大学院では予備校のような授業をして司法試験に合格するようなやり方をすれば今よりも、本当の意味での法学の勉強をすることに充てられるかもしれない。

・法科大学院協会がモデルカリキュラムを作成しようとしているが、全ての法科大学院がモデルカリキュラムに沿った同じような教育を強いられ、思想統制とはいわないが、その一歩手前まで進んでしまうおそれがあるのではないかと懸念している。

④修了認定

・法科大学院修了者の7~8割が新司法試験合格するようにするとの目標を定めながら、他方で、法科大学院の設置基準を満たしたものは広く参入を認める仕組みになっている。その結果、合格者2000名を前提とすれば、合格率7~8割りを達成するためには、修了認定を厳しくして受験資格者を3000人未満に絞らなくてはならないはず。しかし、現行はほとんどの者が修了できるようになっているのではないか。

⑤認証評価

・最近、認証評価基準に「新司法試験の合格率」が追加されたが、そのことと、法科大学院では三分の一以上新司法試験の必須科目を教えてはいけないとされていることとの関係が理解できない。

・認証評価結果が高いことと、司法試験の合格率は連動しておらず、組織的に受験対策をやっているところの方が合格率は高いようなので、その辺を顕彰してみてはどうか。

(抜粋ここまで)

 坂野としても、いろいろ意見をいいたいところですが、取り敢えずはご紹介にとどめます。まあ、はっきりいって、法科大学院制度に対しては、ぼろくその評価です。でもこれがかなり実際を見据えた評価に近いと思います。これまで、法科大学院協会のエライ教授さんが、実態も見据えずに都合の良いことばかりいってきたのですから、そろそろ自分が裸の王様であることに気付いても良いのではないでしょうか。

※記載内容については、全て執筆者の個人的な見解に基づくものであって、当事務所の統一した見解・意見ではありません。

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