映画 「Space Battleship YAMATO」(スペース・バトルシップ・ヤマト)

 「無限に広がる大宇宙」の台詞で始まり、

 「ヤマトよ、地球は君たちの帰りだけを待っているのだ。地球滅亡の日まであと○○○日」の台詞で終わるのが、TV版宇宙戦艦ヤマトだった。火星での雪、木星浮遊大陸、冥王星反射衛星砲、バラン星の戦い、七色星団でのドメル将軍との戦いなど、様々な印象に残る激闘を突破して、二重惑星ガミラスとイスカンダルに到達。ガミラスの捨て身の攻撃を、沖田艦長の海底火山脈を波動砲で打ち抜くという奇策で勝ち抜き、廃墟と化したガミラス星で、「我々は戦うべきではなかったのではないか、許し合うべきだったのではないか」と苦悩するヤマト乗組員たち。

 そのTV版をリアルタイムで見て、さらに、映画版「さらば宇宙戦艦ヤマト~愛の戦士たち」で滂沱の涙を流した経験を持つ私としては、実写でヤマトをやるなんて、ドエライことになっているだろうと思いつつも、見逃すだけの勇気も持てなかったというのが正直なところだ。

 今回の実写版では、沖田艦長を山崎努が演じている。ちょっと迫力不足で、白い髭がわざとらしい。しかも、ヤマトが地球を発進したら、あっという間に病気が悪化、キムタク演じる古代進に、さっさとしかも強引に艦長代理を渡してしまうし、見ているこっちが「いい加減にしろ~いボス」と文句を言いたくなってしまう。

 何よりヤマト自体が地球防衛軍という軍隊に所属する宇宙戦艦であるはずなのに、乗組員たちの緊張感はほとんどゼロ。酒なんか飲んでるんだから、これでほんとに地球を救うつもりなのか、不思議に思えてしょうがない。

 本来生活班長であった森雪は黒木メイサ。第一艦橋でレーダーを担当していたはずだが、実写ではなんと戦闘機乗りになっている。違和感山盛りだけど、まあこれはこれでありかも。ただ、森雪を救うためにヤマトを危機に陥れる古代の行動は、営巣にぶち込まれるくらいで済まされる行動じゃないと思うぞ。

 船医の佐渡酒造先生役は、高島礼子。猫のみーくんと酒瓶を抱いているところはそっくりだが、ちょっと怪しい雰囲気が欠けている。

 一方、キャスティングとして、まあ許せるのは、古代進役のキムタク、徳川機関長役の西田敏行、真田工場長(技術班長・技師長)役の柳葉敏郎というところか。

 さて、ストーリーの方だが、「愛の戦士たち」で初登場だった空間騎兵隊の斉藤がいたことから、うすうす予想はついていたが、TV版をメインに「愛の戦士たち」の感動場面を無理矢理押し込めて、ごっちゃごちゃにして、駄目にしたようなもの。

 唯一ヤマトのCGは、格好良かったが、エンディングの「ヤマトより愛を込めて」(沢田研二)とともに、日本中を感動の渦に巻き込んだ「さらば宇宙戦艦ヤマト~愛の戦士たち」には、到底かなわない。

 まあ、どんな映画になっていたとしても「ヤマト」の最期を看取るつもりだったので、 そう思えば腹も立たなかったが、全くヤマトを知らない世代の人では、感涙にむせぶ方もいたようなので、知らぬが仏で見に行くのもありかもしれない。

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