年齢性別不問、 一週間の短期バイト、 ある人文科学的実験の被験者、 一日あたりの拘束時間24時間、 人権に配慮した上で、24時間の観察を行う、 期間は7日間、 食事は3食提供、 個室の用意有り、 ただし実験の純粋性を保つため外部からは隔離する、 拘束時間にはすべて時給を払う、 時給1120百円、 作業内容に応じてボーナス有り。 募集元SHMクラブ
この怪しげな、しかし、破格の仕事に応募した12名の男女。ある施設に隔離された彼らに伝えられた実験の内容は、より多くの報酬を巡って参加者同士が殺し合う犯人当てゲーム、という驚愕の内容だった・・・・。
この小説は、2010年度版宝島社の「このミステリーがすごい!」の1位を獲得しているそうだ。ホリプロの全面協力の下、あの「リング」、「女優霊」の鬼才、中田秀夫監督により「インシテミル 7日間のデスゲーム」の題名で映画化され、10月16日から公開されている。
公開されている映画館はそう多くはないが、キャストは、藤原竜也・綾瀬はるか・石原さとみ・北大路欣也・平山あや・片平なぎさなどかなりの豪華キャストである。
私も、中田秀夫監督、キャストの綾瀬はるか・石原さとみにひかれて、映画を見た。
かつて、角川映画だったと思うが、「見てから読むか、読んでから見るか?」というキャッチフレーズで映画も本も売り上げをのばしたことがあったように思う。
しかし、この作品に関して言うなら、間違いなく「見てから読む」べき作品であるし、読んでしまったのなら、映画は見ない方がいいかもしれない。
私は見てから読んだので、幸運だった。
話が小説と映画で相当異なってしまっている。登場人物も、小説12名に対して、映画10名だ。おそらく、小説の内容を忠実に映画にするには、物理的にあまりにも時間が足りなかったのだろう。
中田秀夫監督の得意とするじわじわと恐怖が押し寄せてくるような映像は、この作品には合っているとは思うし、キャストも芸達者なのだが、あまりにも脚本が上手くまとまっていない気がするのが残念だ。
映画の最後のシーンでの藤原竜也の行動も、本当にそうか?と思う行動でちょっと理解しにくいし、小説では得られるカタルシスが、映画では全く得られない。
というわけで、映画はお勧めしないが、小説の方はお勧めだ。
映画の半額以下の値段で相当楽しませてくれる。
是非ご一読を。
文春文庫 686円(税別)