プラネットアース~コウテイペンギン

 NHKの深夜に、約5分ほど、動物たちの番組が流れることがある。最近HDで録画できるようになったこともあり、気をつけて録画しているのだが、お気に入りは最近録画したプラネットアースという番組のコウテイペンギン編だ。

 メスは卵を産むと、オスに卵を預け海へと向かう。オスは、一日中太陽が出ない南極の冬をマイナス60度という寒さに耐えつつ、卵を温め続ける。ペンギンたちは、寒さに耐えるため身体を密着させ熱を奪われないよう行動する(ハドルを組む、というらしい。)。しかも、ハドルの外側と内側のオスは交代しながら行動するらしく、一部のペンギンだけが得をしたり、損をしたりしないように行動しているのだそうだ。

  オスが寒さに耐えつつ、卵を温め続けている間、夜空には極光が乱舞する。さすがはBBC、ともいうべき映像美だ。

 卵がかえり、可愛い赤ちゃんペンギンが小さなくちばしを振り立てて、空腹を訴える。オスはほぼ4ヶ月何も食べていないにもかかわらず、ノドから出る粘液を子供に与えるのだそうだ。

 しばらくして、長い南極の夜が明け、メスがお腹いっぱい食べ物を詰め込んで海から帰ってくる。オスはようやく赤ちゃんペンギンをメスに預け、海に向かうことができる。

 わずか、それだけの、約5分の番組を二つだけ録画しただけだが、南極という実に厳しく、あまりにも美しい自然と、その中で、子育てをするコウテイペンギンの姿は、寝る前に見ると心を穏やかにしてくれるような気がする。

 そういえば、昔読んだヘミングウェイの「老人と海」は、主人公の老漁師サンチャゴは、長い不漁のあと、ついにサンチャゴの釣り糸に食いついた巨大カジキとの死闘に勝利したものの、あまりのカジキの巨大さに船に引き上げることができず、帰り道にサメに襲われ、大カジキは骨だけにされてしまった。というお話だった。サンチャゴは、港に帰り、漁具を片付け、疲れ果てた身体で簡素な家に戻って、眠る。

 そして、その本の最後には、「老人は、ライオンの夢を見ていた。」

 と書かれていたような記憶がある。

 動物の映像には、何かしら不思議な力があるのかもしれない。

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