見栄のはり方

 最近マスコミで弁護士の就職難がようやく、報道されるようになった。

 そのような状況にならないよう、警鐘を鳴らしてきたつもりだったが、現実に問題が生じないとなかなか実感できないのもまた事実なのだろう。遅すぎるかもしれないが、迅速に問題点を見極めて対応する必要があると思う。

 先だって、大阪弁護士会は就職説明会を開催したのだが、募集事務所としてブースを設けた法律事務所はわずか、10事務所あまりだったそうだ。

 私は、大阪弁護士会の常議員会で、募集事務所が少ない、もっと積極的に応募して欲しいと執行部副会長から聞いたので、「潜在的ニーズがあると言い張っている先生や、弁護士人口増員論者の先生が経営している事務所の連絡先を、修習生に教えるべきだ、当然その先生方は修習生を雇うはずでしょう。」と意見したのだが、単なる意見ということで、あっさりと流されてしまった。

 真剣に弁護士の増員が必要と考えるならば、潜在的でもニーズがあると真剣に信じているのならば、その事務所では新人弁護士の雇用が必要なはずではないのか。

 新人弁護士の就職が困難であるということは、「増員が必要・潜在的ニーズがある」という主張が真っ赤な嘘なのか、増員必要・潜在的ニーズがあっても、雇用するだけの質が見込めないのか、いずれかしかないだろう。そしてそのいずれでも由々しき事態ということには変わりがないはずだ。

増員賛成論者、潜在的ニーズ論者は、直ちに自らの収入を新人弁護士並みにしてでも新人弁護士を雇用してあげるべき義務があるだろう。

 それが言行一致というものだ。

 「私は司法改革を推進してますよ、増員?もちろん賛成です。」、とええカッコだけして、そのツケを新人弁護士に負わせようとする態度は、あまりにも無責任と言わざるを得ない。

 話を戻すが、大阪弁護士会の就職説明会に集まった修習生は、正確な数は忘れたが100名はいたと思う。

 圧倒的に募集事務所は少ないと思うのだけれど、実態はもっと悲惨だったという噂がある。

 つまり、大阪弁護士会で就職説明会のために法律事務所にブースを設けるよう募集したのだが、実際の募集を考えていた事務所は、6~7事務所しかなく、あまりの少なさに本来募集する予定のない事務所にもブース設置を要請して、形だけは募集があるように見せかけたというのだ。

もしこの噂が本当なのであれば、交通費をかけ、必死に就職を願ってやって来た修習生に対してあまりにも失礼な対応ではないのか。

 そんなところに、見栄をはってどうする。

 弁護士会の舵取りをされている方々に、もっと現実を直視して頂きたい気持ちでいっぱいだ。

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