将棋の観戦記

私が、将棋の谷川浩司九段のファンであることは以前書いた。

 谷川九段を含むプロ棋士たちが争うプロ将棋のタイトル戦は、現在7つである。

 最も伝統のある名人戦、

 賞金最高額の竜王戦

 その他、王位戦、王座戦、棋王戦、棋聖戦、王将戦である。

 それぞれ新聞社等が主催をしている。

 ちなみに、名人戦は毎日新聞・朝日新聞両者が主催、竜王戦は読売新聞の主催、王位戦は新聞三社連合(北海道新聞・東京新聞・中日新聞・神戸新聞・徳島新聞・西日本新聞)、王座戦は日経新聞、棋王戦は共同通信社、棋聖戦は産経新聞、王将戦はスポニチ・毎日新聞社がそれぞれ主催している。

 だから、読売新聞を読んでいる人は、将棋欄を見ると竜王戦が掲載されていることが殆どだろうし、日経新聞を読む人が目にするのは棋王戦が殆どということになる。

 私はなぜか、小さい頃から、プロ将棋の指し手の意味も分からぬまま、観戦記を読むのが好きだった。当時の観戦記には、対局者のやりとり、苦悩までが描かれていたような記憶があり、素晴らしい観戦記に巡り逢うと、天才中の天才たちの究極の頭脳勝負、その息づかいまでが聞こえるように思ったものだ。

 最近は、どうも、新聞の観戦記には、面白いものがないように感じられ、あまり読まなくなりつつある。

 今の観戦記は、総じてそつなくまとめているので、決してまずいものではない。しかし、棋士達の人間性まで、踏み込んだ描写が極めて少なくなっているように思う。何となく表面をなでるような描写に終始し、棋士の苦悩まで踏み込み、内面をえぐりだすような描写を含む観戦記は殆ど見当たらないように感じられる。

 もちろん観戦記者の方も、棋士の内面が見えるわけではないだろうから、棋士の内面を描こうとすれば想像で書くほかなく、その記事が棋士の機嫌を損ねる危険を孕むことは、十分想像できる。また、棋士達の機嫌を損ねることはできないだろうから、どうしても事なかれ主義になってしまうのかもしれない。

 現在、王位戦七番勝負では、広瀬章人六段が、深浦康市王位に挑戦している。広瀬六段はタイトル初挑戦だ。私が応援している谷川浩司九段が挑戦者になっていないのが残念だが、広瀬六段は若武者らしく元気いっぱい戦ってくれるだろう。

 いろいろな制約はあるだろうが、観戦記者の方には、切れば血がほとばしり出るような、熱い観戦記を期待したい。 

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