ネットの功罪

 私は、大学で演習を担当して4年目になるが、学生のインターネットへの依存度が年々高まっているのではないかと感じている。

 私の演習では、事前に課題を出題し、解答させて検討するというスタイルを取っているが、殆ど同じような間違いを犯した解答が連続して学生から提出されることがある。

 先日など、遺失物(落とし物)に関する出題をしたのだが、学生のほぼ7割が「遺失物は、遺失物法に定めるところに従い、広告をした後六ヶ月以内にその所有者が判明しないときはこれを取得した者がその所有権を取得する。」(民法二四〇条)と解答してきた。

 遺失物法は平成18年に改正され、遺失物に関しては広告後三ヶ月以内と期間が短縮されている。民法二四〇条にもそう書いてあるので、民法の教科書を読むか、六法で条文を参照すれば、間違いようがない問題だ。

 間違えた学生たちに、どこで調べたのか聞いてみると、ほぼ全ての学生がインターネットで調査したと返答していた。私の感触では、年々その傾向は強まりつつあるようだ。

 インターネットの情報は確かにお手軽だ。キーワードを上手く拾えば、検索エンジンを用いて容易に解答にたどり着けることもあるだろう。しかし、その情報は必ずしも正確なものではなく、過ちを含んでいる可能性がある。ネット上の情報は、コピーアンドペーストにより、ねずみ算的に増殖していくので、誤った情報の方が多くネットで流通している危険すらある。

 言い古された言葉になるが、インターネットを情報の手がかりとして利用するのは良いが、その情報に全面的に頼った場合、思わぬ痛手を被る危険があることを知って利用すべきだ。

 それでも、ネットの情報が正しいのか、教科書くらいチェックしたらどうなんだろう。

 だって、大学生なんだから。

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