司法修習生給費制存続についての市民集会

  最近各弁護士会で、続々と決議されている事項があります。

 「司法修習生の給費制の存続を求める決議」です。

 これまで、司法試験に合格し、司法修習生になった者は司法修習期間中、アルバイトなど一切禁止で司法修習に専念しなければなりませんでした。もちろん、そうなれば生活費すら困りますから、一定額の給与が国から支給されていました。

 少なくとも私は、税金で育てて頂いたという思いを強く持ちつつ、修習を行い、弁護士になりました。国選の刑事弁護事件や当番弁護、少年扶助事件など、全くペイしないボランティア的な仕事も、弁護士の職務として少なくとも100件以上は、こなしてきましたが、その支えになったのは、税金で育てて頂いたという思いが大きかったように思います。

 もちろん、国選事件はペイしないからと全くやらない弁護士もいますが、司法修習中に国(納税者の方)から、給費を頂いたことを感謝しつつ、弁護士業を行っている弁護士も相当数いるはずです。

 そもそも、どうして検察官・裁判官はともかく、弁護士を国費で育てる必要があったのかということですが、私が思うに、次のような背景があったのではないでしょうか。

 国家といえども、間違いを犯すことがあります。冤罪事件や薬害などがその典型です。その場合、裁判所で国家を相手に、国民が個人で戦わなければならない場面があり得ます。

 その際に、国家の過ちなど(大企業の行き過ぎた営利追求も含みます)から、国民の権利を擁護できるのは、裁判官・検察官と対等に戦えるだけの知識能力を身につけた法律家である弁護士しかいない、つまり裁判官や検察官と同等の知識・能力を身につけた在野の法律家を育てることにより、国民の方々の権利の守り手としようという狙いがあったように思うのです。

 だからこそ、司法修習に専念して、国民の方々の権利の良き守り手になれるよう、国家が司法修習生に給費制を実行してきたのではないでしょうか。また、給費制の廃止は、法科大学院の学費を借金で賄ってきた学生に、司法修習中の生活費の分をにつき、さらに借金を強要する制度でもあります。こうなってくると、お金持ちしか、裁判官・検察官・弁護士になれなくなるのではないでしょうか。

 確かに日弁連のこれまでの対応は、給費制廃止が決まった後は、沈黙していたようにも思われ、廃止直前になって、急に問題化させているようにも見えるかもしれません。

(この点に関して冷静な見方をされている、弁護士小林正啓先生~「こんな日弁連に誰がした」の著者でもいらっしゃいます~の御意見もあります。下記のリンクをご参照下さい。)

http://hanamizukilaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-53e8.html

 しかし、国民の権利の守り手として位置づけられてきた弁護士が、司法改革による法科大学院制度導入による多額の出費に加え、さらに司法修習中に多額の出費を余儀なくされ、借金まみれで弁護士として第一歩を踏み出したとき、果たして国民の権利の守り手としての理想を追えるのでしょうか。

 司法修習生の給費制存続に関する市民集会が、大阪弁護士会で近々行われます。

 6月14日、18:00~ 場所:大阪弁護士会館2階

 広報活動が追いついていないかもしれませんが、もし、お時間がありましたら多数の方の、参加をお願い致します。

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