進みつつある司法占領?金子大阪弁護士会会長の「混合法人」報告レジュメその3

 すでに、大手外国法律事務所は、日本にも外国法事務弁護士の派遣を開始しており、2007年度のデータでも、規模から見た世界の100大法律事務所のうち、日本に事務所を置くもの13、日本の弁護士と外国法共同事業を行っている事務所は22存在する。

 また、同じく2007年度データによると、年収別でみた世界の100大法律事務所のうち、日本に事務所を置くもの10、日本の弁護士と外国法共同事業を行っている事務所は20存在している。
 その殆どが英米系のローファームであるが、日本における業務解禁に向けての下準備は着々と進行中というところだと思われる。

 その場合、当該法律事務所の経営はIP(インターナショナル・パートナーシップ)によって行われるが、外国法律事務所によって支配される可能性が高いことは既に述べたとおりである。外国にいる外国弁護士がいかに弁護士としてあるまじき行為をとるとしても、日弁連が懲戒することはできないので、結局、外国ローファームの主張が野放し状態で日本国内にあふれかえる可能性が出てくるだろう。
 弁護士の倫理は国によって異なるため、IPにより経営される場合、日本の弁護士倫理を日本の法律事務所が貫徹できない場合が十分に考えられるのだ。

 また、イギリス及びアメリカの多くの州では弁護士会への加入すら義務でないところもあって、英米の弁護士を英米の弁護士会が監督してくれる制度が整っているわけではないようだ。特に弁護士を悪しき隣人呼ばわりすることすらある、英米での弁護士倫理が、日本において、果たしてどれだけ倫理としての意味を持つのか私には分からない。

 現在の日本においては、弁護士は弁護士法3条・72条により法律事務の独占が許されており、かつ弁護士法27条により弁護士以外の者との提携は禁止されている。したがって、IPは現状の弁護士法に違反した違法なものである(日弁連見解)。

 以上のとおり、IPを前提とする外国の弁護士制度とIPを認めない日本の弁護士制度とはそもそも、基盤が違っているのである。

 次に金子会長の分析は、イギリスを例にとって、弁護士に対する考え方の違いについて分析を進めて行かれる。

(続く)

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