昨夜の京都は寒かった。
鴨川の中州にはうっすらと雪が積もり、風花とも言えないほどの細かな白い雪が、風になびいていた。
中州にうっすらと積もった雪が目にできる明るさがあることに気付いて、見上げると、ほぼ丸い月がかかっている。月は白い。ボンヤリと薄雲がかかっているのでなおさら白く思える。
橋を渡ると、桜の花がほころびかけていた。ソメイヨシノだから、見え始めた花びらも月光でひたすらに白く見える。
雪も、月も、花も、おそらく、誰も見ていないくても、誰に気付かれなくても、いいのだろう。
ほんの僅かの時間、この星で過ごせることについて、なぜだか考えた夜だった。