学生さんが来た。

 今日は、私が関西学院大学で秋期に受け持っている、司法特別演習Bの学生さんを含む3名の学生さんが、少年事件について話を聞きたいということで、事務所に来られました。

 少年事件について、よもやま話や苦労話をしていたのですが、どうも学生さんもゼミでどういうことを発表するのか、ハッキリできずに来ていたようすでもあり、果たして実のある話ができたのか少し不安です。

 私は、少年事件をいくつかやって来ましたが、少年が本当に反省して更生できたのであれば、弁護士のことは忘れてもらって構わないのだと思っています。そりゃ、本音を言えば、その子のために一生懸命活動したのですから、覚えておいてもらいたいという気持ちはゼロではありません。

 しかし、少年事件はその子の人生にとって、大きなつまずきの一つです。誰だって人生でつまずきますが、そのつまずきにいつまでもこだわっていては、おそらく前には進めないことだってあるはずです。つまずきから何かを学べば、つまずきを乗り越えられれば、少年には新しい人生が開けています。

 そして、弁護士はその少年事件というつまずきの際に現れ、そのつまずいた自分と短い時間一緒に歩いてくれた人であり、少年がそのつまずきから何かを学ぶヒントをくれるかもしれない人です。失敗から学んでしまえば、失敗自体を忘れた方が良いのと同じく、少年事件から何かを学ぶことができれば、事件とともに忘れ去られた方が良い存在ではないかとも思うのです。

 とはいえ、私自身も、少年院を出てから大学に合格したという少年からの喜びの手紙を大事にとっておいたりするものですから、心の底では覚えておいて欲しいのでしょう。

 人の心は、理性だけでは割り切れないものですね。

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