日経新聞の最後の面(一般新聞ではテレビ欄があるところ)に、毎日掲載されているのが、「私の履歴書」というコーナーだ。功成り名を遂げた方の、自分史のようなもので、結構面白い。
現在は、日本政策金融公庫総裁の安居祥策氏の連載が続いている。
今日は、安居氏が帝人に勤務していた頃、自動車のボルボの販売を経験したときのエピソードだった。当初うまく行かなかったボルボの販売を安居氏は努力と工夫で軌道に乗せていく。
その際に、安居氏は、高級車であったボルボを、医者・弁護士・中小企業の経営者などをターゲットにして売り込みをかけていく。ターゲットとしては当然だろう。一般にお金持ちと思われている職業だからだ。
しかし実際は安居氏の思惑とは異なっていた。その部分を以下に引用する。
「医者は、ベンツやアウディが好きだ。歯科医はドイツ車でもBMWを好むという具合に違いがある。意外だったのは弁護士である。外車どころではないというつつましい方も多い。」
医者か弁護士というのは、社会的ステータスを表す職業だったのかもしれないが、それは、必ずしも裕福かどうかということと連動しないのである。当時の帝人が総力をかけて多くの売り込みをかけた上でのお話であろうから、かなり信用できると思う。
安居氏にとっては、非常に意外だったのだろうが、弁護士の多くは、昔からつつましい方が多かったのだ。確かに一部の弁護士にはお金持ちもいる。それは否定しない。だが幸か不幸か、弁護士全員=お金持ちというイメージ(幻想)は、特にマスコミには根強いように思う。