大阪弁護士会会員の方へ

 昨日、大阪弁護士会会員の方のレターケースに、「司法アクセスの基盤整備と 適切な弁護士人口を求める会」の呼びかけ人となられた先生方(私を含みます)からの、趣意書(裏面に回答書があります)を配布させていただきました。

 なかなか、現実を見てくれない(あるいは現実を見ていても、しがらみで動きが取れない)日弁連や大阪弁護士会執行部に対して、「このままでは大変なことになります。きちんと現実を見て対処してください。」という、見識ある個々の会員のご意見を集めていこうという考えです。

 規制改革会議の自由競争をひたすら信奉する学者達は、弁護士人口を増加させ、自由競争をさせれば全てうまく行くかのような話をします。しかし、それでは弁護士人口が世界一で、最も弁護士の自由競争がなされていると思われるアメリカの現実はどうなのでしょうか。

 私のブログでも以前書きましたが、ニューズウイーク日本版6.24号には次のように書かれています。

「アメリカ社会で起きている大きな変化の一つは、自主規制をする同業者組合のようなシステムが消えつつあることだ。かつて弁護士と医者、会計士は自らを公的責任を伴う民間プロフェッショナルとみなしていた。自分の事務所のためだけでなく、社会全体にとって善か否かを考えながら責任感を持って行動していた。弁護士は、時間を浪費する訴訟ややみくもな買収を考え直すよう依頼人に助言することさえあった。今や弁護士だけではなく、あらゆる専門家が変わってしまった。」

 仮に自由競争させ市場原理にまかせれば、儲けることができる弁護士だけが生き残ります。良い弁護をする弁護士ではなく、儲かる弁護をする弁護士が多く生き残るのです。そのような社会になれば、いくら弁護士といえども、社会全体のために善かどうか考えてはいられません。そんなことを考えていれば、儲けることは出来ず、弁護士として生き残ることが出来ないからです。

 どこを見渡しても、自分の儲けばかり考える弁護士しかいない、そんな世の中が本当に正しい世の中なのでしょうか。 

 また聞きなので、情報の正確性は保証できませんが、アメリカのマイクロソフト社で、一年の経費の半額以上が弁護士費用などのリーガルコストであった年もあるそうです。研究開発費に経費がかかることは理解できますが、(特許等の今後の利益に関する争いがあったとしても)基本的には生産性に直接つながらないリーガルコストが経費の半額以上も占めるなど、悲劇的な状態としか思えません。

 弁護士を無軌道に増加させ、弁護士が自由競争の下で自らの食い扶持を探して回った結果、このように企業・(そして企業が負担した費用は製品に転嫁されるので)国民に、高額のリーガルコストを負担させる状況になり、マイクロソフトの悲劇を引き起こしたともいえるのではないでしょうか。

 日本が目指すべきは、自由競争ばかり叫んで、現実を見ない規制改革会議の学者の示す方向ではなく、自由競争を過度に進行させた結果、過ちというべき事態にまで陥っているアメリカの失敗に学ぶことであるはずです。

 様々なご意見の方がおられるでしょうから、趣意書の文面には、部分的に賛同できない箇所もあるかも知れません。しかし、弁護士が、社会にとって何が善か否かを考えながら責任感を持って仕事ができ、その結果国民の方にもプラスになる弁護士界を目指すため、敢えて小異を捨てて、趣意書にご賛同いただければ幸いです。

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