第4回常議員会は、いつもと違った雰囲気でした。正面を見ると執行部の半分近くがマスク姿で、畑会長もマスク姿での常議員会となりました。今思い返すと、常議員の方も相当数マスク姿で来ておられて、見た目は少しコミカルな感じになっていたかもしれません。
本日も様々な案件が、決議されていきましたが、来る5月29日の日弁連総会における、大阪弁護士会としての姿勢をどうするかという案件もありました。
日弁連が、「司法改革宣言」を出すこと(日弁連総会第6号議案)について、常議員会に意見を諮られたので、質問をしてみました。
そもそも法曹人口の激増を容認する、平成12年11月1日の日弁連臨時総会決議案は、次のように記載されていました。
「当連合会は、かねてより、21世紀の我が国の司法制度を「大きな司法」とし、市民が参加し、市民に身近で役立つ「市民の司法」とするため、法曹一元制及び陪・参審制の実現を求め、弁護士の自己改革を行う決意を表明してきた。また、本年5月の定期総会においてもその旨の宣言を行った。我々は、司法制度改革審議会の審議の現状を踏まえ、審議会に対し、改めて、法曹一元制と陪審制の実現について要望するとともに(中略)、法曹人口については、法曹一元制の実現を期して憲法と世界人権宣言の基本理念による「法の支配」を社会の隅々まで満たすために、国民が必要とする数を、質を維持しながら確保するように努める(以下略)」
要するに、平成12年の決議案では、法曹人口を増大させるための大きな理由付けとして、法曹一元制の実現を期してのことであることが明らかにされています。
ところが、その決議から9年経過した、平成21年日弁連総会の決議案(第6号議案)はどうでしょう。司法改革、市民の司法、という言葉はありますが、法曹一元という言葉は何処にもありません。
そこで、執行部に「確か法曹人口激増容認の理由は、法曹一元を目指してのことだったはずだが、そのようなことは何故、決議案に書かれていないのか。現在、日弁連で、法曹一元を目指して具体的な活動がおこなわれているのか。」という趣旨の質問をさせて頂きました。
会長からは、日弁連で法曹一元実現に向けての具体的活動・施策が実行されているとの説明はなかったので、法曹一元の実現については、日弁連も内心あきらめているとしか考えられません。
法曹一元を目指さないのであれば、法曹人口5万人を日弁連が容認した最大の根拠はなくなります。
平成12年の臨時総会議事録p26には、平山正剛日弁連副会長(当時)が、「法曹一元を考えてみますと(中略)分母としては4万人ぐらい必要ではないかということは議論いたしておりますけれども(後略)」と発言されており、あきらかに、法曹人口増大を正当化する理由として法曹一元制度の実現が挙げられています。
つまり、当時の日弁連執行部と現在の日弁連執行部に連続性があるのなら(法曹人口5万人を目指すと言い続けていることから連続性は明らかですが)、会員に対しては、法曹一元に必要だから弁護士を増やすのですといいながら、法曹一元を目指す方策を継続してとることもなく、弁護士の増加だけを実現させているということになります。
例えは悪いかもしれませんが、これだけのお金を払えば、素晴らしい夢が叶いますよと言ってお金を集め(負担を負わせ)ておきながら、集めたお金を持ち逃げするのとさして変わらない状況でしょう。
私は、日弁連の決議案に関して、賛成しませんでした。
日弁連執行部には、どうしてこのような方針転換をしたのか、そうでないとすれば何故結果的には会員を騙すような事態になったのか、きっちりと説明して頂きたい気持ちでいっぱいです。それと同時に、大阪弁護士会執行部には、日弁連執行部に対し、会員にきちんと説明をするよう、強く求めて欲しいと思っています。
参考までに私の尊敬する弁護士のお一人である、小林正啓先生が、ブログで非常に緻密に分析されています。
以前も、先生のブログをご紹介したと思いますが、シリーズものの「日弁連はなぜ負けたのか?」という論文がPDFファイルになって更に読みやすくなっています。
下記のURLをご参照下さい。
http://hanamizukilaw.cocolog-nifty.com/