現実はどうか?

 日弁連が、法曹人口に関する提言を理事会決議で決議して、公表してしまったことで、法曹人口問題は一応収束してきたのではないかという考えをお持ちの方もおられるでしょう。

 しかし法曹人口問題は、現実には何らの解決もされておりません。今年は1000人規模の失格者(法科大学院を卒業しても、新司法試験に合格できずに終わる方)が出るのではないかという意見もあるようです。

 先日、以前このブログでも紹介しましたが、「司法の崩壊」を書かれた、河井克行衆議院議員のブログを拝見しました。(法曹人口問題について深刻な問題意識をお持ちの数少ない議員の方です。)

 河井議員のブログ「あらいぐまのつぶやき」によると、「法曹養成と法曹人口を考える国会議員の会」が結成され、3月19日に第1回勉強会、3月26日に第2回勉強会が行われたそうです。(第3回の勉強会についての記事はまだ掲載されていません。)

 その勉強会の内容はかなり凄いので、法曹人口問題について興味のある方は、是非河井議員のブログをご覧になって頂きたいと思います。

 ちなみに、第1回勉強会での参加された議員の共通認識は、次のようなものだそうです(以下、河井議員のブログから引用)。

① 旧試験時代と比べて法科大学院修了生の「質」は確実に下がってしまった。これは法曹の質量ともに向上すると約束した当初の理念が裏切られたことであり、結果として無駄な予算が法科大学院関連に垂れ流しになっている、

② 三千人増員を推進する前に、日本社会に本当にそれだけの法曹人口が必要なのか、需要の検証を立ち止まってしっかりと行うべきである、

③ 「質」が伴っていないのに数ありきの発想で新司法試験合格者数が年々増やされているのは国家と国民の利益を著しく損なっている、

④ 法科大学院に通える経済的な余裕がある層(無理して資金を工面している人の負担も大変です)しか新司法試験を受けられない現行の仕組みは社会の実情に合っていない。予備試験を充実させ幅広い多様な人材が法曹を目指せるよう抜本的な対策を講ずるべきである。

⑤ 役所の説明を聞いていると、「一度始めた制度は続けるしかありません」と他人事のような言い振りである。だからこそ、政治が動かなければならない。

(引用ここまで)

 「質」の点については、実力をつける前に卒業・新司法試験・司法修習となってしまっていることもあるため、断言することはできないかもしれませんが、その他は、至極まっとうな、議論が展開されているようです。日弁連の暴走ぶりに辟易している私には、このようなまともな議論がなされていることは、微かな救いです。

 逆に言えば、このようなまともな議論が何故日弁連で出来ないのか、それが不思議でなりません。一体何故なんでしょうね?

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