民事法律扶助制度

 理不尽に権利を侵害された人が、裁判を起こそうとしたときに弁護士に依頼するお金がない場合があります。その場合に、いったん、弁護士費用を立て替えてくれる制度が民事法律扶助制度です。

 そもそも憲法で裁判を受ける権利が保障されていますから、その権利を保障するためにも、この制度は国民の方にとって大事なものだと思います。

 他方、政党助成法という法律があります。この法律は、議会制民主政治における政党の機能の重要性にかんがみ、国が政党に対し、政党交付金による助成を行うこととし(中略)、もって民主政治の健全な発展に寄与することを目的とする。とされており、その目的達成のために政党には政党交付金が交付されます。

 ここで問題です。民事法律扶助制度と、政党交付金はどちらがどれだけ多く国費が投入されているのでしょうか?

 おそらく多くのかたは、民事法律扶助制度は国民みんなのために直接役立つけど、政党交付金は何となく政党と国会議員だけが得しているような気がする。

 国会議員は衆議院480人、参議院242人だから、どれだけ政党や国会議員が大事と言っても、民事法律扶助制度にも同じくらいお金が出ているのではないか、と思われるのではないでしょうか。

 ところが・・・・・・。

 国民一人あたりの負担額にしてみると、

 民事法律扶助制度  国民一人あたり年間40円(日弁連新聞による)

 政党交付金      国民一人あたり年間250円(政党助成法第7条)

 なんと政党交付金の方が6倍以上も多くの国費が支出されているのです。

 政治にはお金がかかるというのも理解は出来ますが、いくらなんでも、民事法律扶助制度の6倍以上というのはいかがなものかと思います。

 しかも政党交付金により本当にクリーンな政治が行われるようになったのであればともかく、私には、西松建設事件に象徴されるように、従前とあまり変わらない、少なくとも目立ってクリーンな政治になったのかというと疑問があるように思われます。

 国民の方の権利保護に直接役立つはずの、民事法律扶助制度に対して、政党交付金と同じくらいお金を出してもらえれば、お金がなくて裁判が出来ず、泣き寝入りする人たちも減るのではないかと思うのですが、法律を作る立場の国会議員の方の多くが、政党交付金を受ける政党に所属している現状では、簡単ではないようです。

 どっちが国民のためになるのか、考える必要があるかもしれません。

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