法曹人口倍増計画

 今年1月30日に、鳥取県弁護士会が、弁護士人口倍増宣言達成に関する会長声明を発表しました。

 鳥取県弁護士会の弁護士人口倍増宣言は、平成12年8月に宣言されたもので、わずか8年あまりで達成されたということになります。

 上記の会長声明によると、弁護士人口(不足)の問題の解決に漕ぎ着けることが出来たということのようで、いわゆる弁護士過疎と言われてきた県でも、既に弁護士は余り始めてきたことが明らかになってきたといっても良いでしょう。

 弁護士過疎と言われていた地域でも、既に弁護士人口が余り始めているということは、従来から弁護士過疎でない地域は、既に過剰状態に陥っており、その傾向が深刻化しているということです。また、今後は全国的に弁護士過剰の状態が更に深刻化するということです。

 余っているならば、この数を維持するだけ合格させれば良いだけであり、もうこれ以上(全体的にレベルダウンしているとの指摘まで受けながら)弁護士を増やす必要はないはずです。

 文科省から法科大学院関連に2007年度だけでも210億円以上(奨学金事業含む)の税金を投入するくらいなら、むしろ今後の高齢化社会を考えて、お医者さんの育成に税金を投入する方が建設的とも思えます。

 なお、鳥取県弁護士会も所属する中国地方弁護士会連合会も、すでに2007年10月に司法試験合格者削減を求める決議を行っています。会長声明を併せて読めば、「弁護士急増の政策で既に十分な弁護士が地方にも配置された、これ以上は明確に過剰だ」ということになるのでしょう。

 それにも関わらず、弁護士人口の増加ペースを現状維持で構わないという日弁連や、大阪弁護士会の一部の方々は、何を考えているのでしょうか?

税金のお話など

 先日の日経新聞の片隅に、「日本の個人にかかる所得税などは最高税率が高すぎる。世界各国で4番目の高い水準であることが分かった。」という趣旨の記事が載っていました。

 現在の日本の所得税・住民税を併せた最高税率は50%で、高福祉・高負担といわれるデンマーク・スェーデン等に次ぐ高い税率なのだそうです。ちなみに上位3国はデンマーク(59%)、スェーデン(55%)、オランダ(52%)なのだそうです。

 北欧諸国がどこまで累進課税を行っているのか分からないので、一概に所得税の税率だけからは言えませんが、私は日本の税金は、社会福祉などのレベルに比べて、結構高い方なのではないかと思っています。

 例えば自動車にかけられる税金についても、取得・保有なんと9種類もの税金がかけられており、そのうち少なくとも4種類の税金には、30年以上も本来負担すべき税金の1.2~2.5倍の税率となっています。海外諸国に比べて2倍から38倍!の高い税金を納めなくてはなりません(JAFによる)。ちなみにイギリスの2.4倍、ドイツの4倍、フランスの13倍、アメリカの38倍なのだそうです。

 私としては、少なくとも先進国といわれる国で、平均的生活・ゆとりある生活・ちょっとしんどい生活を行う家庭をそれぞれ共通で想定し、それぞれのレベルの家庭が1年間普通の生活を送る上でどれだけ税金がかかるかを各国で試算して、比べてもらえば、実際の税金の高い安いが分かりやすくなると思うのですが、そのような比較を税務当局が行っているのを(私が不勉強なせいかもしれませんが)見たことがありません。

 消費税率に限っていえば日本は先進国より低いといったように、極めて限定した部分に関して比較はされますが、納税者からみた全体的な納税額の比較は全く明らかにされていないように思われます。しかも、良くいわれる、「消費税率については、諸外国よりも低い」という言い方も、極めてミスリーディングな表現です。

 例えば、イギリス・アイルランド・オーストラリア・メキシコは消費税率は確かに5%以上ですが、食料品については0%だそうです。つまり食料品に関しては、日本は上記4ヵ国よりも、高額の消費税率をかけていることになります。

 麻生首相も消費税率の引き上げをいう前に、本当に日本の税金は高くはないのか検証してもらいたいところです。もし日本の税金が高いのであれば、それは、諸外国では実現できている社会福祉や行政サービス等に関する経費削減が日本で出来ていないことになります。そこまで明確にならないとしても、日本の社会福祉や行政サービス等が、税金に見合ったものを提供できているか、くらいは明らかにできるかもしれません。

 いずれにしても、国民の皆様に負担をお願いする立場であれば、まず経費削減を可能な限り行ってからというのが筋でしょう。