読み応えあり!春秋会50周年記念誌~その1

 ご存じの方も多いでしょうが、大阪弁護士会には7つくらいの会派があります。そして、会派ごとに広報誌を作って大阪弁護士会所属の弁護士全員に配布してくれます。

 大抵は、将来会長・副会長を目指す方の事前活動が多いように思えます。ある方の露出が異常に多くなってくると、多分選挙に出るんだろうなという推測すらできてしまいます。

 このように、会派活動をしない無所属の私にとっては普段はあまり読む気がしない広報誌ですが、今回の春秋会の50年記念誌は、「司法改革と法曹人口の増員」というシンポジウムが掲載されており、読み応えがあります。記念式典などの偉い方のお話は飛ばして、シンポジウムの箇所だけでも読んで頂きたいと思います。

 凄いですよ。元日弁連会長の久保井弁護士が、司法試験合格者3000人の問題について、「3000人のあとの問題については意見を用意していませんが、国民に公約した数字でもあるし(中略)、ニーズがないのに箱だけ先に作るということではなく、箱を先に作ればそれに見合ったニーズが付いてきます」「仮に今仕事がなくても、法化社会が進化することにより解決していきます。」と言い切っています。

 ちょっと無茶ですが、久保井氏の話を大学にあてはめるとこうなりますか。

 「大学で学びたい学生がいなくても、大学さえ作ればそれに見合った数の学生がやってきます。」

 「 仮に今(少子化で大学の定員を満たすだけの)学生がいなくても、もっと高学歴社会になるので(大学経営は)解決していきます。」

・・・・・・・・・2つの意味で「そんな馬鹿な」と誰もが思うのではないでしょうか。

 全く根拠もなく極めて希望的観測に過ぎない見方をされているということが1点、そして、そのような方が日弁連会長として平成12年の日弁連決議の中心にいたということがもう1点です。 

 ちなみに2002年3月19日閣議決定の「司法制度改革推進計画」には、

「法科大学院を含む新たな法曹養成制度の整備の状況等を見定めながら、平成22年頃には司法試験合格者数を年間3000人程度とすることを目指す。」とあります。

 閣議決定はあくまで、状況を見定めつつ、目指すという努力目標を掲げただけと読むのが素直ですが、久保井氏にとってみれば公約ということなのでしょう(古い日弁連の決議にあるのかもしれませんが)。

その他

 「少なくとも弁護士が赤字にならない制度を作って行かなければ需要は掘り起こせない。そのためには法律扶助の飛躍的拡大がなければならない。」と主張される森下弘弁護士。

 相変わらず鋭い切り込みで、若手の意見を主張される増田尚弁護士。

などなど、非常に面白い議論が展開されています。

 他にも様々な方が発言しておられ、非常に読み応えがあります。

 いつもの会報か、と思って捨ててしまうのはあまりにもったいないので、是非ご一読下さい。

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