法曹人口と訴訟件数

 日弁連の統計表をみると、弁護士数は2008年現在25062人、1996年時点では約15500人程度のようです。

 従来から弁護士数は少ないと、言われ続けてきていましたが、本当にそうだったのでしょうか?

 この点に関して、面白いデータがあります。

 最高裁判所事務総局が1996年時点での、法曹一人あたりの民事第一審訴訟件数(法曹が一年間にどれだけの民事訴訟を担当するか)を比較調査した結果、次の通りだったとのことです。

 フランス31.2件

 イギリス28.3件

 ドイツ18.9件

 アメリカ16.2件

 日本21.4件

 訴訟の手間にもよりますが、法曹一人あたりの民事訴訟の件数だけで見ると、既に1996年時点で日本には諸外国と比べても、民事訴訟を十分担うだけの法曹(弁護士)が既に存在していたことになります。

 単に人数や人口比だけを比較して、弁護士数は少ないと主張するのが、弁護士数を増加させようとする人たちの手法です。しかし、本当に日本の社会で弁護士数が少ないかどうかを判断するためには、実際に弁護士を利用したいと思う人が利用できるだけの弁護士が存在するか否かで判断すべきではないでしょうか。

 そうだとすると、1996年時点で既に、諸外国と比較して、第1審の民事訴訟を十分こなせるだけの弁護士数がいたとも言えるのです。

 その後2008年まで弁護士数は激増しました。約162%の増加です。これまで以上に、弁護士数を増加させて何か良いことが本当にあるのでしょうか。

 かつて痛みに耐えて構造改革といわれたことがありました。みんな必死で痛みに耐えたはずですが、その痛みに見合った結果は出たのでしょうか。今でも、弁護士会でもお偉方は、歯を食いしばってでも司法改革と主張されますが、ここまで歯を食いしばってきた若手にその痛みに見合う何かを与えることができたのでしょうか。

 魅力ある司法、国民が利用しやすい司法が達成できたのでしょうか?

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