法科大学院の不適合~その2

 法科大学院の適合・不適合の判断については、第三者機関が厳正に行うことになっているようです。その第三者機関は、実は財団法人日弁連法務研究財団、財団法人大学基準協会、独立行政法人大学評価・学位授与機構と3つも存在しています。

 また、どの団体に審査してもらうかについては、各法科大学院が選べるようなのです。第2東京弁護士会がバックアップして作った大宮法科大学院大学は、合格率の低迷が指摘されつつも適合と判断されていますが、大宮法科大学院が評価を依頼したのは、当然のごとく日弁連法務研究財団でした。

 日弁連法務研究財団の理事などには、法科大学院構想に賛成した元日弁連会長などが多数含まれており、第2東京弁護士会がバックアップして作った大宮法科大学院を不適合だと言いにくいと思われる団体です。したがって、少なくとも大宮法科大学院を評価するには適していない団体だと、私個人の目には映ります。中立的な第三者による厳正・公正な判断をすべき場面であるからです。他の法科大学院においても、自らの大学の出身者が重鎮を占めているような団体を探して、評価を依頼している可能性が捨て切れません。

 また、日弁連法務研究財団では、どのような評価基準で適合するか否かを判断するかについての解説まで、HPに公表されているのですから、これはもう、答えを教えてテストをするようなものだと思います。

 さらに、その評価基準を見てみると、どのような設備・カリキュラム・制度・教授陣を有し、いかなる授業を行って評価しているのかという、形式的な面が中心です。法科大学院が、「旧司法試験合格者の前期修習終了レベルまで学生を教育できる、そのような実力を身につけた学生しか卒業させない」という前提で、司法修習制度も変更されたのですから、実際どれだけの法的知識・リーガルマインドを身につけたかについても(新司法試験の合格率でしか判断できないかもしれませんが)当然評価すべきですが、それについては私が評価基準を見る限り評価の対象外となっているようです。

 これはおかしいと思います。

 なぜなら、そもそも法科大学院の目的は、立派な教室を作るとか立派な教授陣をそろえるとか、立派な講義を行う、というものではないからです。法科大学院の目的は、優秀な法曹(候補者)を育てることにあるからです。

 どんなに素晴らしい校舎・教授陣・カリキュラム・講義が可能であっても、学生に優秀な法曹(候補者)としての実力を身につけさせることができなければ、法科大学院として失格=不適合とすべきことは、その目的からいって当然でしょう。

 誤解を恐れず簡単に言えば、どうも法科大学院評価機関は、例えは悪いかもしれませんが、最新式のオートメーション工場があるだけで適合、町工場であればそれだけで不適合、と判断しているような面が感じられます。たとえ同じ製品の品質が町工場の方がはるかに高く、オートメーション工場で不良品が多発していても、それは評価の範囲外としているように思われます。

 法科大学院自体問題がありますが、その評価の制度も問題がありすぎる制度のように私には思えるのですが・・・・・・。(続く)

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