国がネットオークションで売られる?

 現在、非常に深刻な通貨危機に陥っているアイスランドですが、世界最大手のネットオークション会社である「eBay」で、アイスランドが国ごと売りに出されていた、というニュースを耳にしました。

 ご丁寧なことに、世界的に有名なアイスランド人歌手であるビョーク、それにグリーンランドはオークションの対象ではありません、などと注意書きもあったとのことです。

 アイスランド国民にとっては、ひどい冗談だったと思います。

 ニュースによると、現在、通貨危機に瀕しているアイスランドが、大手銀行を政府管理下においたところ、これまでアイスランドの高金利を狙ってアイスランド系銀行にイギリスの個人・団体が約1700億円もの預金をしていたことが発覚。イギリス政府がアイスランド政府に対し、自国民の預金保護を要請したが、危機的状況のアイスランドはその要請に応じきれない状況のようです。これに対し、イギリスは、反テロ法を発動してイギリス国内にあるアイスランドの銀行が保有する資産を凍結、アイスランド首相がそのイギリスの措置に不快感を示すなど、溝が深まりつつあるようです。

 国家の総人口が約30万人強に過ぎなくても、アイスランドは立派な独立国家です。エイプリル・フールでもないですし、もし、イギリス系の人による悪戯であったなら、国家に対する悪戯・いじめもインターネットで行える時代になってきたということなのかもしれません。

 私は、アイスランドの荒涼としていながらも美しい自然や、素朴な人々、澄み切った空気の素晴らしさに感動したクチですから、今回のニュースには少なからず不愉快な思いを感じました。

 インターネットは、その匿名性から、内容に責任を持たずに発言することが可能な媒体ともいえます。それはある意味では本音を言える媒体なのかもしれませんが、匿名という隠れ蓑を着た責任を持たない発言を通して、人の悪意がストレートに表現される危険がある媒体でもあります。

 神様ではなく人間である以上、人の心には善・悪の双方がどうしても存在していると思います。最終的には、私は、人の心の中には善の総量の方が上回っているのではないか(より正確には、上回っていて欲しい)と考えてはいます。

 しかし、人のむき出しの悪意は、いうまでもありませんが、非常に醜いものです。インターネットを通じて、そのような悪意が身の回りに氾濫する社会が、当たり前になってしまうことは、私達全てにとって不幸を招く危険があるような気がします。

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