日本経済新聞「法務インサイド」

 本日の日経新聞朝刊の、「法務インサイド」の記事に、「弁護士就職波高し」との記事が掲載されていました。

 日経新聞の分析では、就職未定者は、新旧61期を併せて170名前後ではないかとされています。日弁連は懸命に法律事務所に採用を呼びかけているそうですが、今年は無理との返答も多いようです。また、地方に活路を見出す途も狭まりつつあるそうです。
 昨年のほぼ同時期に、同じく日経新聞朝刊「法務インサイド」で、「弁護士飽和に危機感」との記事を、今回の記事を書かれた赤羽雅浩記者が書かれていましたが、そのときはまだ、ある新人が先輩弁護士から地方スタートを勧められたというように、地方はまだまだ需要があるとの前提で書かれていたようでした。
 この記事をもとにすれば、わずか1年で、地方の需要も満たされつつあるということになりそうです。

 弁護士数は2000年時点で17126人でしたが、2008年3月には25062人、2008年中に弁護士登録すると見込まれる新旧61期の2100~2300人を合計すると、2008年中には、27000人は超えるでしょう。法曹不足が盛んにいわれていた1990年に比べればほぼ2倍以上の弁護士数になっています。今、司法試験合格者を年間3000人合格者にすれば、5年以内に、1990年当時の弁護士数の3倍にまで弁護士が増加します。ちなみに、1990年から2000年までの10年間で弁護士数は3326人増加しました。つまり、年間司法試験合格者3000人ということになれば、これまで10年間近くかかって増加した弁護士数とほぼ同じくらいの弁護士数が、毎年毎年世の中に出てくることになります。

 弁護士に依頼してまで解決しなければならない法律問題が、1990年頃に比べて、2倍になっているでしょうか?ここ5年以内に法律問題が1990年当時の3倍にふくれあがっていくと思われますか?司法統計によると、ここ数年の民事事件数は、減少ないし横ばい状態です。

 何度も言いますが、もし弁護士の需要があるのであれば、新人弁護士は引く手あまたであり、就職難などあり得ません。新人弁護士の就職難、すなわち弁護士過剰なのです。

 このように、完全に需要を見誤ったまま進行する法曹人口増加の計画を、いつまで続けるつもりなのでしょうか。

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