私の通っていた京大法学部は、当時必修科目がほとんどない学部でした。ですから、卒業だけを考えれば経済系・政治系の科目を沢山集めて卒業ということも可能で、そのような人たちは自分のことを「法学部を出たけど、法律系科目を取っていないから、無法学士や。」と茶化して言っていたくらいです。
私も当時、JR東海に内定を頂いており、司法試験をあまり考えていなかったので無法学士に近い学生でした。
京大では、当時、殆ど必修科目がない代わりにゼミに参加するのが学生の恒例となっており、私は、中森喜彦教授の刑法ゼミに正ゼミ生として参加させて頂き、吉岡一男教授の刑事学ゼミにはオブザーバーとして参加させて頂きました。
日本刑法学会に出席させて頂いたときには、中森先生と吉岡先生を捜してご挨拶することが私の密かな楽しみですが、大教室での講義だけではとてもこのような教官と学生の関係は作れなかったと思います。他の大学のことはよく知りませんが、熱心にゼミを行っていた京大の特色の一つと言っていいのかもしれません。
日本屈指の刑法・刑事学の学者先生とお話しできるだけでも素晴らしいことですが、今でも縁が切れてしまったわけではない(と勝手に私は思っています)ことに、とても有り難みを感じています。