映画 スカイ・クロラ~

 完全な平和が実現した世界で、大人達が作った、「ショーとしての戦争」。

 そこで戦い、生きることを決められた子ども達がいる。

 思春期の姿のまま、永遠に生き続ける彼らを人々は<キルドレ>と呼んだ。

 空と地表の境で繰り返される、終わらない愛と生と死の物語。

 宮崎駿監督の「崖の上のポニョ」が話題になっている、この夏のアニメ映画ですが、私のお薦めはこの「スカイ・クロラ」です。ご覧になっていない方のために、詳しい内容を紹介することは避けますが、できれば事前の情報を入れずにご覧頂き、なんだかよく分からないけれど何かが心のどこかに引っかかると思いつつ、公式HPを見ると、もう一度映画館で見たくなる映画かもしれません。

 発進前に、ラダー・エルロン・エレベーターなどの動作をきちんとチェックするところ、計器板の表示、キャノピー越しの太陽、空の美しさ、リアルすぎる雲、飛び交う曳光弾など空戦シーンは圧倒的なリアリティに溢れています。人(キルドレ)の命がかかっている戦場なのですから、本来極めて残酷なシーンのはずなのですが、ここまでリアルに表現されると、空の描写と相俟って、却って非日常的な美しさすら感じてしまいます。

 一転して、地上世界の人間描写は、リアリティの感じられない、アニメ的な描写になります。

 キルドレではない大多数の人間にとっては、空戦シーンがショーであり、地上世界が現実であるはずなのに、映像表現は完全に逆です。

 原作は森博嗣の「スカイ・クロラ」ですが、映画では原作のラストが変更されています。私としては、映画のラストの方が好きです。

 上映している映画館は、ポニョほど多くはありませんが、空戦シーンだけでも、映画館の大画面で見る価値は十二分にあると思います。

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