法曹人口問題に関する決議案~その6

 8月6日の臨時総会にかけられる、法曹人口問題に関する決議案について、どこが異なるのかはっきりしないという声も聞かれるようです。

 執行部案(8号議案)の内容自体についての問題点に関しては、7月17日のブログに記載したとおりです。

 ただ、もう一つ別の問題もあります。それは、大阪弁護士会の意思決定過程が民主的に行われていないと思われることです。

 会員アンケートの結果から言えば、圧倒的多数意見は司法試験合格者3000人計画を直ちに見直して減員させるべきであり、その意見を大阪弁護士会として表明すべきである、というものでした。だからこそ、法曹人口問題PTの報告を受けて、当初執行部は決議案(臨時総会9号議案~会員提案議案と同じもの)を、7月1日の常議員会に提案したのです。

 そこでは、「(大阪弁護士会選出の)宮崎日弁連会長の足を引っ張るな」 「日弁連と大阪弁護士会の連携をどうするのか」などといった、日弁連・日弁連会長への配慮が優先されているかのような質問が相次ぎました。大阪弁護士会所属会員の意思の多数がどこにあるのかということについての質問は殆どありませんでした。

 ところが、継続審議となった7月14日の常議員会が開催される直前、どこからどのような圧力がかかったのか分かりませんが、執行部は当初の決議案(9号議案)を撤回し、会員の意見を直接反映しているとは思われない決議案(8号議案)に差し替えました。

 そして、7月14日の常議員会においては、執行部が差し替えた決議案(8号議案)が、反対わずか3人という圧倒的多数で可決されました。常議員会での質疑によっても、各会派で決議案が事前検討されていたことは明らかでしたから、8号議案の可決に関して、見事なまでの会派による常議員統制が行われていたことは間違いありません。

 もし、会員提案議案(9号議案)が臨時総会に提案されなかったとしたら、大阪弁護士会としての意思決定は、(おそらく)会派上層部により統制された常議員会(定員わずか60名)により、勝手に変更され、その決議案に対し賛否の投票をする自由しか与えられなかったはずです。

 このように、大阪弁護士会の意思決定過程には、会派上層部のお偉いさんが影響力を行使し続けており、その黒幕の方々の政治的意図が非常に色濃く反映される場合があるようです。まさに法曹人口に関する問題でその黒幕の方々の問題点が浮き彫りにされた結果となっているように思います。

 仮に会派上層部の方(黒幕の方々)が、本当に弁護士全体のことをお考えになって政治的配慮も含めて決断されたものであり、その理由をきちんと納得がいくように説明してくれるのであれば、ここまで問題は大きくならなかったかもしれません。ただ、少なくとも私が納得できるだけの理由は未だかつて聞かせて頂いたことはありません。

 執行部側近の方が、今回の決議案差し替えは苦渋の選択だったと漏らしておられましたが、その言葉は、相当強い圧力がどこかから加えられ、それに執行部が譲歩せざるを得なかったことを意味しているようにも思います。

 しかし、日弁連との連携などを頻繁に持ち出す会派上層部の方々の存在を見ると、弁護士全体・大阪弁護士会全体のことより、自分たちが今持っている(あるいは将来手に入れる可能性のある)政治的影響力を大事にしている、若しくは自分たち・先輩方がこれまで行ってきた施策の選択が誤りであったことを認めたくないと考えて、それを取り繕うために問題を先送りするなどの行動をしているようにしか、私には思えません。

 問題を先送りしていても、解決はできません。

 今回の臨時総会が、「個々の弁護士があっての弁護士会であり、日弁連である」「弁護士会内の政治的行動は、個々の弁護士が誇りを持って活動でき、その使命を十全に果たせるために行うべき行動であって、自らの名誉・栄達を目的とする行動ではないはずである」ということを、黒幕の方々に、もういちど考え直してもらい、弁護士会内の民主的な意思決定が回復されるきっかけになればと良いと、私は個人的に思っています。

 臨時総会へのご出席と、9号議案への賛成(最低でも委任状の提出)を是非お願い致します。

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