法律相談に来られた方で、色々事情をお聞きした上で、特に法律的に問題がなく、このまま放っておいても大丈夫である場合、「この内容の郵便でしたら放っておいて大丈夫ですよ。」と、正直にアドバイスすることもあります。
そのような場合、法律相談料を請求させて頂くと、意外な顔をされる方が結構いらっしゃいます。確かに、法律相談に来られた方は、「もともと放っておいても良かったものなのだから、弁護士に相談しても特に事情が変わったわけではない。それなのに、どうして相談料を支払わなければならないのだろうか」とお考えのようです。
ところが、事情が全く変わっていないわけではありません。相談された方は、「こんな、お金を請求してくる郵便をどうしたらいいのだろうか」と不安に思っておられたはずです。そうでなければ、相談に来られるはずがないからです。少なくとも法律的になんら問題がないことを教えてもらうだけで、その不安からは解放されたのです。
確かに弁護士が生まれながらに法的知識を持っており、その法的知識を生活の糧にしていないのであれば、無料で相談に応じるべきかもしれません。しかし、生まれながらに法的知識を持っている人などいません。弁護士も相当程度の費用と時間をかけて法的知識を身につけていますし、高価な専門書を購入して、法律に関して研究していたりします。その努力や費用は全て自分が負担しているものです。
ですから、法律相談を受けて、なんら結論が変わらないときでも弁護士が時間と費用をかけて身につけた、法的知識を利用していることに代わりはないのです。
さらに分かりやすくするために、お医者さんに例えて見ます。何となく身体の調子が悪いので、お医者さんに診てもらったら、「特にどこも悪いところがなくて少し過労気味なだけですから、このままで大丈夫ですよ。」と診断されたとします。
その際にお医者さんに診察料を請求されて、「何も身体の調子が変わっていないのだから、診察料は支払いたくない」という、言い分が通るでしょうか。
法律相談もそれと同じに考えて頂ければ、ご理解頂けるかもしれませんね。