ヴェネチア

 昨日のブログでは、地球温暖化でシロクマが危機に陥っていることに触れました。

 水の都ヴェネチアでも、地球温暖化の影響かアクア・アルタ(高潮)の回数が、近年急増しているそうです。地盤沈下も原因であるとの指摘もありますが、地球温暖化による海面上昇が一因であることはどうやら間違いなさそうです。そしていずれ、ヴェネチアは海に沈んでしまうのではないかという人もいます。

 アクア・アルタがやってくると、ヴェネチアの人たちは、慣れた手つきで板を渡した通路を作り、その上を歩いて通ります。あまり広い通路ではないので、すれ違うだけでも大変ですが、観光客が非常に多いため、なおさら渋滞してしまいます。

 私は、まだ比較的軽いアクア・アルタを一度だけしか体験したことはありませんが、結構面倒なものです。ヴェネチアに着いた直後で、スーツケースなんか引っ張っていたら相当大変だろうと思います。

 水位がかなり上がるアクア・アルタが、ヴェネチアを襲ったら、おそらく、街が生きたまま海に取り込まれていくような印象、街が街として機能しながら滅び行く印象を受けるのではないかと思われます。そして、ヴェネチアは、観光都市としての性格の裏に、そのような印象を常に隠し持っているような微妙な雰囲気を感じさせる街なのです。

 夜遅く、観光客もまばらになった頃に、チャプチャプと運河に寄せる波の音を聞きながら散歩すると、そのような雰囲気をより強く感じることができます。

 その雰囲気に、また浸りたいような、浸りたくないような、不思議な魅力のある街です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です