不動産の即時取得??

 近時の司法修習生で、不動産の即時取得を主張した人がいたそうです。最初に聞いたときはまさかと思ったのですが、どうやら本当のようです。
 上記のミスは、通常では到底考えられない間違いであり、そのような受験生が合格してしまう最近の司法試験は(合格者の急増も含めて)、本当にこれで良いのか疑ってしまいます。

 ただ、法律をご存じではない方には、不動産の即時取得を主張するとは、どんなに、ひどいレベルなのかはおわかりにならないと思います。
 私の感覚として、この間違いのレベルをわかりやすく、お医者さんにたとえて説明しようとすれば、次のようなレベルだと思われます(現実にはこんなひどいお医者さんはいませんが、わかりやすくするためにお許しください。)。

☆ある日
 親    先生助けてください。うちの子が、熱を出しているのですが。
(藪)医師 どれどれ、うむ、これは風邪ですな。心配いりませんよ。熱冷ましを出しておきましょう。

☆その翌日
 親    先生、まだ子供の熱が下がらないのですが。
(藪)医師 む、これはいかん。すぐに手術しなければ。いいですな。
 親    そんなにひどいんですか。お願いです。先生、うちの子を助けてください。
(藪)医師 任せておきなさい。全力を尽くしましょう。

☆手術後
 親    先生、うちの子供、大丈夫でしょうか。手術は成功したのでしょうか?!
(藪)医師 全力を尽くしましたが、手術は成功とは言えません。手術ではこの病気は直せませんでした。・・・残念ながらこれが現代医学の限界です。
 親    そんな・・・・・。ただの風邪だとおっしゃっていたのに・・・・・。うちの子はもうだめなんですか?
(藪)医師 だから風邪を手術で治そうとしていたのです。あとでわかったのですが、風邪を手術で直すのは現代医学では無理だったのですよ。

 笑い話のようですが、即時取得は民事の基本法である民法の条文に明記されているものでもありますし、法学部でも物権法で必ず学ぶ基本中の基本です。それを一瞬でも勘違いするというレベルは、風邪を手術で治せると一瞬でも考えてしまう医師くらい、とんでもないレベルなのです。

 これまでの合格者の増員により、そのような方でも司法試験に合格することが可能となってきました。さらに増員すれば、もっとレベルダウンした方が法律家となってしまう危険性が高いと考えられます(もちろん優秀な方の存在も否定はしませんが、法律家の最低レベルがダウンすることは間違いないと思われます。)。

 恐ろしいことだと思いませんか?

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