議案取下げを求めた理由

 私が、3月3日のブログで、国選付添人の報酬から5%をピンハネする議案を取り下げるよう主張したのは、執行部が議案を取り下げない限り、可決される可能性が極めて高いからです。

 つまり、少年事件を扱わない弁護士からすれば、国選付添人がいかに手間暇をかけて苦労していようが、全く関係がない話なのです。

 少年事件を扱わない弁護士からすれば、自分以外の誰かが、本来弁護士会全体で担うべき面倒な仕事(しかも、時間をかけるだけ赤字になるボランティアの仕事)をやってくれて、しかもそのボランティアからピンハネしたお金が弁護士会に入るのだから、反対する理由などないからです。そりゃそうでしょう。面倒な仕事は誰かがしてくれて、しかも、黙っていても弁護士会に入るお金が増えるのですから。

 しかし、少年事件を扱う弁護士は、私の感覚で言うと間違いなく少数派です。全員が結束して反対票を投じたとしてもほぼ確実に負けると思われます。そのくらい執行部は分かっているはずです。だからこそ、「国選弁護との公平」という、誰が見てもおかしい理屈をつけてまで提案しているのでしょう。だから、議案を取り下げない限り、この議案は可決されることがほぼ確実な議案なのです。明らかに多数決の暴力としか言いようがありません。

 仮に、この議案が可決されたのであれば、私なら国選付添人をやる気が大いに失せます。今後は、やらないかもしれません。他の少年事件を扱う弁護士の方も、おそらく怒っておられると思います。この件のせいで、ただでさえ少ない少年事件を扱う弁護士が嫌になってしまう危険性は高いでしょう。

 弁護士・弁護士会が維持しなければならない制度のために、ボランティア精神で頑張っている一部の弁護士に対して、鞭を打つこの議案は提案するだけでも非常識ですが、その議案を撤回しない執行部はひどいとしか言いようがありません。

 国選付添人が不足するのであれば、この議案を提案した執行部が、率先して国選付添人事件を多数受任して処理することが当然の義務でしょう。

 山田会長をはじめ執行部の方々は、その義務から絶対に逃げないで下さいね。あなた達は自分の名誉欲ではなく、弁護士や弁護士会のために弁護士会の執行部にはいることを自ら選んだ方達のはずですから。

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