もうやめちゃおうかな。

  先日、国選事件の報酬・費用等について、法テラスから通知がありました。2月3日にブログに記載した事件に関するものでした。

 弁護士報酬については、住居侵入・傷害の被害者2名と示談交渉し、①被告人(住居侵入・傷害・オーバーステイ)をできるだけ寛大な処分にして欲しいこと、②被告人に対して被害弁償等を求めないことを確約すること、の内容を含んだ嘆願書をもらえたことが評価されたらしく、特別加算30,000円がありました。

 したがって、時給換算ではようやく3,000円くらいにはなりました(それでも通訳人の時給の4分の1以下です)。

 この事件では、被告人の親族の方が、「ここまでやってくれるとは思わなかった」と、金品を私に贈ろうとしたのですが、国選弁護制度に鑑み当然受領しておりません。国選事件で被告人の親族から金品を送ろうとされたのはこれで3回目ですが、国選事件では、国選報酬以外は受領してはならないので、当然受領しないのです。

 それはさておき、今日問題にするのは、法テラスが算定して弁護士に支給する費用の方です。この事件は、当初、被告人が一部否認をしていたため、刑事記録(捜査段階の実況見分調書や、被告人の供述調書など)の謄写が必要でした。コピーしておかないと、被告人にどの調書のどの部分で自白を強要されたのかとか、実際の犯行状況と実況見分調書とどう違うかなどの検討ができないからです。否認事件でなくても、被告人が恐怖のあまり否認できない場合もあるので、記録をコピーして自白が不自然に変遷していないかなどを調査する必要もあります。つまり、刑事事件では刑事記録のコピーは、ほぼ不可欠のことなのです。

 記録のコピーには、専属の業者がいて、その業者以外には事実上コピーをとってもらえません。そのコピー代金は1枚42円(消費税込)と、べらぼうな高値になります。

 ところが、実際に弁護士が弁護のためにどうしても必要だからと考えて1枚42円のコピーをとっても、国選事件の場合、国選弁護費用としてはコピー代は一枚20円しか出ません。実費すら出ないのです。しかも、否認事件か重大事件等に限りコピー代が出るだけで、その他の大部分の国選事件は、弁護にどれだけ必要であっても1円もコピー代は出してもらえません。良い弁護をしたければ自腹を切れということのようです。

 私の今回の事件では、被告人が一部否認をしていたので、記録(352枚)を全てコピーしました。そして、法テラスに対して国選事件の費用として14780円を領収書添付の上提出し請求しましたが、法テラスの明細を見ると謄写費用として7040円しか出してもらえませんでした。ただでさえペイしない国選事件でどうしても必要な経費まで自腹で払わされるのであれば、嫌になって当然でしょう。

 さらに、拘置所まで被告人に接見に行った際の交通費も1円も出ていません。忙しいときなどやむを得ずタクシーを利用したこともありますが、それは私の事情なので、タクシー代ではなく公共交通機関(地下鉄)の最寄り駅までの交通費(南森町~都島:片道で200円)を請求したのですが、1円も出してもらえません。法テラスの国選基準では8キロメートル以上の遠隔地のみ交通費が支給されるようです。つまり、8キロ以内は地下鉄も使わず歩けということのようです。以前の国選事件では、少なくとも公共交通機関の交通費くらいは出ていました。

 私は50件以上国選事件をしてきましたが、このような仕打ちを受け続けるので、だんだん嫌になってきました。

 もう、やめちゃおうかな。

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