町の法律家の法律違反?

 先日、東海地方に勤務する、同期の裁判官と話すことがあったのですが、「過払い金180万円を司法書士に取り返してもらって、過払いについて60万円の報酬を支払った人がいたけど、そんなにかかるの?」と聞かれました。

 大阪弁護士会基準では、過払金取戻し額の20%が弁護士報酬ですから、上の例であれば、大阪弁護士会経由での事件であれば、報酬は36万円+消費税ですんだはずです。話を聞く限り、恐ろしくぼったくりをしている司法書士なのです。司法書士の報酬がどうなっているのか分かりませんが、自由化されていれば、仕方がないのかもしれません。

 しかし、問題は実は別の所にあります。

 簡裁代理権認定を受けた司法書士が、代理人として交渉できるのは140万円までです(認定を受けていない司法書士はそもそも債務整理の代理人になれません。)。140万円を超えてしまうと、司法書士では法律上代理人になれず、代わりに交渉することは法律違反なのです。それを無視して司法書士さんに代わりに交渉をまとめてもらったりすると、公序良俗違反となり、その交渉による契約自体が無効とされてしまうのです。これは、遺言や相続でも変わりません。せっかく司法書士にお金を払って相続問題をまとめてもらっても、140万円を超える案件だと、あとから公序良俗違反で無効だと主張されてしまう危険が大きいのです。

 司法書士は、町の法律家を名乗って法律事務を行っていますが、その司法書士が法律違反をしているのは全くもって不可解としか言いようがありません。以前、私は東京のあるマルチ商法の詐欺集団と交渉したときに、司法書士資格を有する人が加入していました。私は東京の司法書士会に、Eメールで取り締まるよう通報しましたが、返答はありません。当事務所の別の弁護士も、違法行為をしていた司法書士を司法書士会に通報しましたが、司法書士会は法務省が監督庁なのでそちらに言って下さいという対応だったそうです。

 もちろん、法律上許された範囲で仕事をやっておられる司法書士の方が大部分でしょうし、私の知り合いの司法書士さんは全てキチンとされています。

 しかし、一部には法律違反をする町の法律家がいるのです。このような一部の方の暴走が、司法への信頼を揺るがせなければいいのですが。

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