オーバーブッキング

 航空会社では、当日のキャンセルなどに備えて、飛行機に搭乗できる定員以上に予約を受け付けること(オーバーブッキング)をやっているそうです。ところが、予想に反して当日キャンセルが出なかったりすると、予約したお客さんを全員乗せることができなくなります。

 そこで、エコノミーのお客さんをビジネスクラスに乗せたり、ビジネスクラスのお客さんをファーストクラスに乗せたりする場合があります。これをアップグレードといい、エコノミー料金でありながら、ビジネスクラスの座席とサービスを得ることができてしまったりするのです。 逆に差額を返却するのでファーストクラスのお客さんをビジネスクラスに乗せることもあるそうで、私は見たことはありませんが、これをダウングレードというそうです。

 どういうお客さんをアップグレードしてあげるのかは、航空会社によって違うらしく、身なりのいい人を乗せているのではないかという説まであります。しかし、まず間違いないのは、その航空会社のマイレージカードを持っており、しかもそのカードのグレードの高い人が優先される可能性が高いということです。

 昨年末から今年初めにかけて、中欧を旅行した私は、帰りの飛行機で全く同じ席の搭乗券を持っている方が現れ、オーバーブッキングに遭遇しました。私はその航空会社のマイレージ会員でしたので、私の方がアップグレードして頂く幸運に恵まれました。

 私と同じ席の搭乗券を持っていた人にもアップグレードのチャンスがあったのに、私がアップグレードしていただいたので、何となく申し訳ない気持ちになり、席を替わる際に「すみません」と言って、ビジネスクラスの方に移らせてもらいました。

 ところが、私が「すみません」というと、その方は、「良かったですね」と笑顔で言葉を返して下さったのです。

 素敵な方だと思いました。

 他人の幸運を素直に喜んであげることは簡単なようでなかなかできることではありません。特に幸運に恵まれるチャンスが同じようにあり、自分ではなく他人が幸運を得た場合には、相手の幸運を喜んであげることは更に難しいことだと思います。自分がチャンスを得られなかったという残念な気持ちがどうしても出てくるからです。

 私もその人のように、素直に相手の幸運を喜んであげられる人になりたいと思いつつ、機内の時間を過ごしました。

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