カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲

 一番美しいと思うクラシック音楽は何だろうと、司法試験受験時代に受験仲間だったH君と話し合ったとき、H君が推したのが、このカヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲です。

 映画ゴッドファーザーパート3でも効果的に使われていましたし、TVCMにも何度も登場しているので、耳にすれば「ああ、この曲なのか」と思われる方も多いでしょう。

 静かな、霧に包まれた牧場の夜明けを思わせるような導入部から、この曲は始まります。

 そして、次第に朝の光が増していきます。誰にも汚されていない清澄な空気が立ちこめ、あたりは霧でボーっと明るいようです。その中で一人、しっとりと湿った大きな樹に背中を預けながら、甘美であったが決して結実することのなかった、かつて過ごした夢のような時間へと、自分一人で戻っていきます。
 しかし、そこはあくまでかつて過ごした夢の時間であって、取り戻すことも、今後もう一度経験することも、もはやできません。

 そして、過ぎ去った美しい時間(とき)の記憶に後ろ髪を引かれつつも、人は、今の現実へと帰ってこなければならないのです。どうしても・・・・・。

 わずか3~4分程度の曲ですが、そのような情景を、初めて聞いたときに思い浮かべてしまいました。

 昔の時間の中に何か忘れ物をしてきてしまったような気がするときには、この曲が良いかもしれませんね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です