やはりなかった弁護士需要

 本日、大阪弁護士会所属の弁護士に配布された、月刊大阪弁護士会11月号によると、国内企業3795社に対して、社内に弁護士を採用することを考えている企業は、回答1129社の内、53社しかありませんでした。

 しかもそのうち、14社は、1人採用して様子を見たいというお試し組ですから、弁護士採用に本当に前向きな企業は、1129社の内39社、わずか3.5%もありません。そして、回答した企業1129社の内、今後5年間で弁護士をどれだけ採用する予定があるかという質問に対しては、全て併せても47人~127人しか採用予定がありませんでした。1年あたり、全国の主な企業でわずか10人から25人しか、企業側は弁護士を必要としないと考えているのです。

 全国の企業で5年でわずか47名~127名しか採用が見込めないのですから、弁護士人口を増加させる大きな理由であった、弁護士の需要が大きいという理由は、全く絵空事であったことが明らかになりました。それにも関わらず、日弁連は、弁護士増加にストップをかけようともしません。

 法科大学院側から優秀と太鼓判を押された新60期の修習生ですら、司法研修所教官があきれるほど実力のないものが相当数含まれており、今後更に弁護士の増加を図ろうとすれば、弁護士全体の質は低下するばかりです。 弁護士全体の質が低下してしまえば、国民から弁護士に頼んでもきちんと対応してくれないという不満が噴出し、さらに司法に対する信頼は失われるでしょう。例えば、自分が手術を受けなければならなくなったときに、誰が信頼できない医師に依頼するでしょうか。弁護士が扱う仕事は、依頼者の一生に関わる仕事も多いのです。そのような仕事を任せることができない弁護士が増加したら、国民はもはや信頼できなくなってしまった司法による解決を望まなくなってしまうにちがいありません。そうなってから、慌てても、遅いのです。一度失った信頼を取り戻すことは、非常に困難です。

 このように社会の需要もない上に、法科大学院で法律家の粗製濫造の危険が高まっているのに、なんら手を打たず傍観しようとする日弁連会長平山氏の見識を疑わざるを得ません。

 日弁連会長を含めた日弁連執行部は、こんな簡単なことも理解できず、若しくは分かっていながら、結局、後10年、20年先のことなので高齢者である自分たちには関係ない、とりあえず任期中のメンツさえ守れれば良い、と言わんばかりの状況です。

 いい加減にしないと、本当に第二日弁連構想が若手弁護士から出てくるかも知れません。

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