新人弁護士の弁護士会費軽減について

 日弁連が新人弁護士の就職難や労働条件悪化を考慮して、日弁連の会費を新人弁護士について2年間に限り半額にする案を臨時総会に提出するとのことです。新聞でも報道されましたが、一見新人弁護士のことを考えているようで、実は、弁護士会の執行部は、全く何も考えていないと言わざるを得ないと思うのです。

 新人弁護士の就職難や労働条件悪化を招いているのは、現在以上の人数の弁護士が社会に必要ではないからでしょう。もし、社会にそれだけの需要があれば、企業や法律事務所としては新人弁護士をどんどん雇用するでしょうから、新人の就職難や労働条件の悪化などあり得ないからです。

 つまり、需要を無視した無計画な法曹人口増加が、根本原因です。すでに、2001年に約19000人であった登録弁護士の数は、現在では24000人とわずか5~6年で5000人も増加しています。司法試験管理委員会は今後も、合格者を増加させる可能性がありますから、これまで以上のペースで弁護士が増加する可能性が高いと言えましょう。 そうなれば、新人弁護士の就職難や労働条件の悪化は今まで以上に、進行することは明らかです。

 需要がないのに法曹人口を増加させているという原因を放置して、とりあえず新人弁護士の負担を軽減するなど、その場限りのわずかな対応をしても、法曹人口増加を止めない限りは結局事態は悪化するだけです。胃ガンで苦しんでいる人に対して、とりあえずお腹が痛そうだからと、癌を放置したまま胃腸薬を与えているようなものです。

 そんな簡単なことがどうして、日弁連執行部や、各弁護士会執行部の方に分からないのか、不思議でなりません。

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