日本経済新聞の社説にひとこと~ 2010年03月11日投稿

2020年3月9日 0 投稿者: sakano

 昨日、明日の朝刊が楽しみだと、記載したが日経新聞が社説で取り上げた。

 題して「内向きの日弁連では困る」。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20100310ASDK1000610032010.html

 一読して突っ込み処満載だが、弁護士バッシングを意図していることは、ほぼ間違いないように思う。

 まず、司法制度改革はどこから出発したかというと裁判所改革の必要性からだった。当然、司法制度改革を論じるのであれば、相当程度実現してしまった弁護士人口増よりも、大して進まない裁判官増員の現状を問題とすべきである。しかし、題材が日弁連会長選挙とはいえ、敢えて、弁護士人口にのみ論点を絞っていることからしても、社説氏の意図は透けて見えるような気がする。

 法科大学院制度についての問題点が、現在噴出しつつあるのに、未だに法科大学院制度については批判せずに、新人弁護士が大量に生み出されるため、大阪や東京のように弁護士にとって割の良い仕事が少ない地方が、大きく影響を受けたからだろうと決めつけて論じている。

 さて、社説氏はいかなる根拠に基づいて大阪や東京の弁護士が割りの良い仕事ばかりにありついていると考えておられるのだろうか?全くの思い込みだけで書かれたとは思いたくないので、弁護士の平均年収などの資料をお持ちなのかも知れない。しかし、仮にそうだとしても、都会では突出して儲ける弁護士も少数いるため、平均の数値が上がるだけだろう。上場会社をピックアップしてCEOの平均年収を計算するときに、日産のゴーン氏を入れるかどうかで、相当数値は変動するはずだ。ゴーン氏を含めたごく一部のCEOの平均年収が高額だから、上場会社のCEOは儲けすぎだと日経新聞社説氏が書いたらそれこそ赤っ恥だろう。

 事実、私は、司法研修所を卒業してから大阪で就職したが、その頃から、儲けるなら地方の方が絶対に良い、と言われ続けていた。都会では既に大きな事務所による寡占化が進んでおり、割りの良い仕事は若手には殆ど回ってこないのだ。弁護士に対して、きちんと取材してみればすぐ分かることだとは思うのだが・・・・。

 また、前もブログに書いたが、いくら弁護士需要があると日経新聞が主張しても、2000人の弁護士が毎年誕生するということは、物凄いことなのだ。

 島根・鳥取の各弁護士会の弁護士数はほぼ50人強だが、この人数で、両弁護士会は、ほぼ県内の弁護士需要を満たしている(特に両弁護士会に対し、弁護士が不足して困っているという苦情が来たという話は少なくとも私は聞いていない)。

 つまり、簡単に言えば、2000人の弁護士が毎年誕生させるだけの弁護士需要があるということは、今現在、島根県または鳥取県の弁護士会所属の弁護士全員が、毎年必死に解決している事件数の40年分に相当する事件数が、全国で毎年・毎年増加していかなければならないということだ。

 日本人が急に、費用をかけてもいいから訴訟大好き!になれば話は別かも知れないが、そんなに事件数が増加するはずがないだろう。実際に過払い金訴訟を除けば、訴訟も相当減少しているし、弁護士会の法律相談件数も横ばいか漸減傾向である。このような現状を見てなお、弁護士需要が大量にあるというのであれば、日経社説氏には目から落とさなければならない鱗が相当たまっていると言うべきだろう。

 しかし、日経社説氏は、さらに言う。

「(前略)弁護士が地域にいない司法過疎の問題や、お金がない人の民事訴訟や刑事弁護を引き受ける弁護士が少ない問題などを解消してからでなければ、弁護士の増員反対の訴えは、国民の目には、高い収入を失いたくない特権的職業集団のエゴとしか映らないだろう。(後略)」

 ならば、私はこう言いたい。

  「日本経済新聞を紙ベースで朝から毎日読みたい人が読めない離島問題や、お金がなくても日経新聞を読みたい人の問題などを解消してからでないと、新聞再販売価格維持制度の主張は、国民の目には高い収益を失いたくない特権的なマスコミのエゴとしか映らないだろう。」

 仮にこの問題を措くとしても、社説氏がなんの根拠もなくここまで書くとは思えないから、日経新聞には、司法過疎問題で弁護士に依頼したくても依頼できない方の苦情や、お金がなくて民事訴訟や刑事訴訟を受けてもらえない人が殺到しているのだろう。日経新聞は、その社会的責任から、敢えて弁護士会に苦言を呈しているのかも知れない。

 つまり日経新聞は司法過疎問題や、お金がない人の民事訴訟や刑事訴訟について、憂慮しているわけだ。その解決をするべきだと考えているわけだ。

 だったら、司法過疎解消のため、お金のない人が訴訟を提起したり弁護を受けるために、使途を限定して、日弁連に多額の寄付をしてくれればいい。それができないとしても、日経新聞の1ページを無償で日弁連や各弁護士会の広告用に毎日提供してくれれば良い。その広告スペースを使って、困っている人にどこへ相談すればいいか伝えられるし、お金がない人には法テラスを紹介することも可能だろう。そうでないとしても、日経新聞に届いているであろう、「弁護士に相談したくてもできない」という方々に了解を得て連絡先をまとめて、そこの弁護士会に伝えてあげるだけでも大分違うだろう。

 日経新聞の社会的責任も果たせるし、日経新聞の英断に誰もが拍手するだろう。

 途で倒れている人を見かけて、誰か助けてやれ、と言うのは簡単だ。本当にその人を助けてやりたいと思っているのであれば、自分から動くべきなんじゃないのかな?

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