弁護士の年収は高いのか?~2010年11月01日投稿

2020年3月9日 0 投稿者: sakano

  A 年俸500万円の弁護士(手当一切なし)

  B 月給25万円(支給額)+ボーナス2ヶ月×2+残業代総額給与の1.5ヶ月分+通勤手当10万円の会社員

 どちらの年収の方が高いのでしょうか?

 Bの計算をすると、25×12(給与)+25×4(賞与)+25×1.5(残業代)+10(通勤手当)=447.5万円だから、これは、当然Aの方が年収が高いと計算される方もいらっしゃるでしょう。

 Bはこの数字から、さらに税金(所得税・地方税)が天引きされ、さらに健康保険料、厚生年金保険料が控除されるので、非常に大雑把に計算(以下同じ)すれば手取りで約360万円前後になります。

 手取りから見ると、140万円の差に見えます。やっぱり会社員Bが薄給だと思われる方も多いのではないでしょうか。

 しかし、健康保険料、厚生年金保険料は、労使折半なので、会社員が給与から天引きされているのと同じ額を雇用主は負担しなければなりません。雇用保険料は会社員よりも多い負担を雇用主は負わなければなりませんし、労災保険料、児童手当拠出金も雇用主は単独で負担しなければなりません。

 その結果、Bの会社員に対する支給額は手取りで、約360万円前後(月給に直して手取り約23万円弱)なのですが、雇用主が会社員Bさんのために一年間で負担しなければならない金額は約530万円前後になります。つまり、雇用主は月給の手取り約23万円の会社員Bさんを雇用するために年間530万円をかけているのです。給与所得者の年収を示す際に、総支給額を基準にされることが多いのですが、実際には給与所得者を雇用するためにかかる費用は、給与明細の総支給額より大幅に多いのです。

 そんなこと言っても手取りでは少ないではないかと仰るかもしれませんが、その分、会社員の方は、高齢になったときに手厚い厚生年金で保護されます。退職金制度がある会社ではなおさら老後は保障されます。 将来のために先にお金を支払っているのと同じです。したがって、給与所得者の年収は、本来事業主負担も合わせて計算するべきです。雇うのにそれだけの費用がかかるのですし、事業主負担は結局会社員の利益になっているのですから。

 一方弁護士の場合、通勤手当を除き、手当を出すところは殆ど無いでしょうし、弁護士会費を年間60万円前後支払わなければ仕事が出来ません。また弁護士会費を支払ったからといって、自分の将来の備えになるわけでもありません。純然たる必要経費です。それだけで、まず、500-60=440万円の支給と同じということになります。

 ここから、税金(所得税・住民税など)が引かれ、国民健康保険・国民年金などの支払いもあります。家賃も支払わなくてはなりませんし、勉強用の専門書だって買わなくてはなりません。老後の備えは、わずかな国民年金しかありませんし、退職金もありません。もちろん雇用されているわけではありませんから、各種手当て(扶養者(家族)手当・住宅手当など)も一切ありません。雇用保険・労災保険もかかっていません。

 実質的にみれば、Aは(その他公租公課含む)税引き前440万円、Bは(その他公租公課を含む)税引き前530万円といってもおかしくはないでしょう。

 マスコミは、初任給年俸500万円の弁護士がそこそこいるので、弁護士の年収は高いと主張することが多いのですが、実質的に見てみると月給手取り約23万円弱の会社員の方が年俸500万円の弁護士よりも90万円も多く事業主から支払ってもらっていることになります。

 マスコミがいうように、弁護士の年収は高いと言って良いのでしょうか。

※記載内容については、全て執筆者の個人的な見解に基づくものであって、当事務所の統一した見解・意見ではありません。

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