春秋会の会報から~ 2009年12月10日投稿

2020年3月5日 0 投稿者: sakano

 大阪弁護士会には、いくつか会派があり、会派ごとに雑誌を発行している。その中の春秋会の会報第81号が、今日配布されていた。パラパラとめくってみると、宮﨑誠日弁連会長も、春秋会の会員として、弁護士40周年記念の寄稿をされていた。

 なんでも、宮﨑会長は、最近、風邪をおしてマドリッドの国際会議に出席されたそうで、そのときのことも書かれている。

(以下、宮﨑会長の寄稿からの引用)

・・・・・(前略)フランスやドイツの弁護士人口増が、英米系大事務所に飲み込まれないための国際競争力強化の国策でもあり、消費者の便利のため広がる非弁護士による法的サービス参入の動きに対する弁護士会の防衛策でもあって、大陸法系弁護士増が消費者運動の高まりに押されて、サービス産業としての変容を迫られた結果であったとの説明を受けた。・・・(中略)・・・今や弁護士の国際的な競争力は一種の弁護士帝国主義という観すらある。この動きは国際条約交渉の場ではもっと厳しく、自国の法制度を国際標準とするための戦いが、外交官に混じって法律事務所を動員して行われている。電化製品や自動車の輸出で世界に伍して戦う日本も、こと弁護士の国際競争力になると韓国にも遙に後れをとっている(後略)・・・・。

(引用終わり)

 おそらく国際会議で、宮﨑会長が聞いてこられたことだから、ドイツ・フランスの弁護士人口激増は、確かに、英米系大事務所に飲み込まれないための国際競争力強化の国策が目的だったのだろう。

 しかし、実際はどうだっただろうか。私が常議員会で頂いた、日弁連作成の「外国弁護士制度研究会中間とりまとめに対する意見書案」の、脚注には、諸外国の現状分析として次のように書かれている。

 「例えば、ドイツなど、急激に外国弁護士の活動を自由化した結果、ドイツ国内の法律事務所の国際化は著しく進展したが、大事務所の殆どが英米大法律事務所の傘下に入ることとなるに至った。」

 結果的に、ドイツは、最も警戒していたはずの英米系大法律事務所の傘下にその殆どが組み込まれているのである。そもそも、国内弁護士を激増させ、国内弁護士の力を結集して、英米系大法律事務所と渡り合うのが目的だったと思われるのに、結果は全く逆である。この状況下で、ドイツvs英米の国際競争においてドイツの法制度を国際標準としてくれといっても無理だろう。相手国の弁護士も英米系大法律事務所所属、ドイツの(大手事務所)弁護士も英米系大法律事務所所属であれば、国際標準はどちらになってしまうかは明らかだ。

 ドイツでは、かつてタクシードライバーをしなければ食えない弁護士などが報道されるなどしていたから、あまりの弁護士激増により、却って国内の弁護士全体としての力が落ちていったのではないだろうか。確かに弁護士が、今の売上水準を個々に維持しながら増加するのであれば、弁護士全体としての力も上がるかもしれない。しかし、弁護士数の増加だけに気をとられ、就職難弁護士、貧困弁護士の多数発生も委細構わず、弁護士数の増加だけに邁進するなら、日本もドイツの二の舞となるだろう。

 さすがに宮﨑会長も、その点には気付いておられるようで、次のように述べている。

・・・・(前略)といっても、法曹人口を無秩序に増やすという解決策より、まずもって、多様な専門性を高めるところから始めるべきである。そのため、法科大学院を中核とする養成制度を、韓国のように専門性を正面から問う体勢に見直す必要があるかもしれない。(後略)・・・・

 私から見れば、現在の法曹人口増大のスピードは、あれだけ口の重い最高裁が司法修習生の質の低下に言及するなど、もはや無秩序と言っても良いくらいの状態に至っていると言ってもおかしくはない。また、ロースクールの機能不全については、様々な指摘がなされているところである。

 だったら、宮﨑会長の任期中に、無秩序な法曹人口増大を直ちに止めて頂きたいし、その上で弁護士全体の国際競争力を高めるために、本当は何が必要なのかを真剣に考えて頂きたい。

 それこそが、(任期はあと僅かとはいえ)日弁連の会長たる宮﨑先生の務めではないかと、私は日弁連の一会員として思うのだが・・・・。

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