「自由と正義」~幻の記事~ 2009年06月05日投稿

2020年3月4日 0 投稿者: sakano

 「自由と正義」、一般には知られていないが弁護士なら誰でも知っている雑誌である。毎月日弁連が発行し、弁護士全員に配布している雑誌であり、ベテラン弁護士の雑感や新しい法律の紹介、弁護士の懲戒事例までさまざまな記事が毎月掲載されている。

 「自由」と「正義」、いずれも弁護士が守るべき対象として必須とも言えるかもしれず、この雑誌を命名した人は、「弁護士会の雑誌の名前としては、これしかない」と思って名付けたことが想像される。

 名前からすれば、自由と正義に満ちあふれた雑誌ではないかと思っても不思議ではない。

 ・・・・・ところが、である。

 先日、弁護士武本夕香子先生の同期同クラスつながりで、愛媛県弁護士会で昨年副会長を務められた弁護士山口直樹先生と武本先生を交えてお話しする機会があった。

 山口先生は、愛媛県弁護士会・四国弁連等で、法曹人口問題について活躍されていた先生であり、お会いしてみると温厚でありながら、非常に気さくで楽しい先生であった。もちろん楽しいお話の中にも、弁護士としての凄味を時折感じさせる鋭い方でもあった。

 その山口先生とお話ししている際に、こんな話題が出た。

(前略)

 <山口先生>  

 法曹人口問題について、愛媛県弁護士会から書かせてあげるということで、「自由と正義」に記事を書いたんですが、ちょっと過激な内容だったせいか、某所から『掲載すべきではない』という意見がでて、掲載できなかったことがあるんです。

 <坂野>

 えっ、そんなことあるんですか?あっていいんですか?

 弁護士が思ったことを素直に載せられないなら、「自由と正義」の名が泣きますね。「不自由と不正義」なんじゃないですか?

 <山口先生>

 (苦笑) いや~、本当のことですよ。まるで検閲だよね。 

(後略)

 ということで、某所から検閲を受け、「自由と正義」に掲載差止めになった、山口先生の幻の記事を、先生のご了承を受けて以下に公開させて頂く。

 (以下、誰かに検閲されてボツにされた幻の記事)

弁護士人口問題における愛媛での取り組み

1 この原稿については、愛媛弁護士会執行部の打合せにおいて、「弁護士人口問題についての取り組みを山口さんが書いたらどうか」と言われ、「私が書いたら、日弁連等に対する悪口ばかりになりますよ」と言ったところ、「構わん」と言ってもらったことから、私の独断と偏見かつ単なる自己満足により執筆することになった。

2 愛媛のような地方においても昨今の弁護士増加は著しく、平成20年以降、新人弁護士の受入事務所が不足することが確実であり、既に絶望的状況である。このような状況の中、当会は、平成19年11月の四国弁連大会の決議として、弁護士人口問題を取上げてもらうよう常議員会で決定された。しかしながら、四国弁連理事会において、「時期尚早」を理由に提案を取り下げるよう求められた。四国弁連理事会において当会の常議員会で決まったことの取下を求めるとは納得できず、当会常議員の持ち回り決議の結果、四国弁連大会で取上げてもらうよう四国弁連理事会に再度はかった。しかしながら、四国弁連理事会での多数決の結果、否決された。また、四国弁連の規約では、議案提出権は理事会のみにあるようで、もし、会員から提案があったとしても認めないとのことであった。四国弁連理事者の状況判断能力の乏しさと議論することさえ拒否することに失望した。なお、四国弁連理事会では、その代わりに、大会の後に日弁連執行部との意見交換の時間を取ることにしたとのことであった。私は、日弁連執行部との意見交換など望んでいないので大会に行くのをやめようと思っていたが、当会の他の副会長から、「せっかくの機会だからきちんと出席して意見を述べよう」と言われて考え直し、当該副会長と二人で事前質問書を提出した。

3 四国弁連大会では、最後の30分間に意見交換が行われた。私と当該副会長は、「日弁連執行部が言っている司法過疎の解消とは、誰が、いつ、どのような状況で判断するのか。司法過疎は司法に限ったことではなく経済的合理性の問題ではないのか」等の具体的質問を行ったが、日弁連は、「3000人は決まったことだから仕方がない」というだけの内容を延々20分も使って話をした。私は、日弁連の全く誠意のない、木で鼻をくくったような回答に感情的になってしまい、「そんな話を聞きにわざわざ徳島まで来たわけではない。詭弁はやめて欲しい」と言ってしまった。

4 その後、当会では、時機を逸した感はあるが、平成19年10月に愛媛弁護士会弁護士人口のワーキンググループを立上げ、アンケート、意見交換を行い、平成20年8月の当会総会で決議を挙げるよう活動を始めた。

5 私個人の感想であるが、極めて杜撰かつ甘い需要予測、現実を直視せず失敗しても誰も責任を取らない無責任体質、どれを取っても日弁連は典型的な役所そのものだ。そして、よくここまでめちゃくちゃにしてくれたものだとつくづく思う。若手弁護士の10年後、20年後より、自らの体面、面子がそれほど重要なことなのか。私如きが偉そうに言えたことではないが、最悪の事態を想定し、そうならないよう事前に対策を立てておくのが弁護士の仕事ではないのか。「司法過疎の解消が重要だ」と言うのであれば、なぜ、会長、副会長の任期を終わられた方が率先して自ら過疎地域に赴くなり、支店を出したりしないのか。嫌なことを下に押し付けるという考えをいいかげんやめたらどうか。最後に一言言いたい。「恥を知れ」

愛媛弁護士会副会長 山口直樹

(幻の記事ここまで)

 ちなみに、幻の記事の掲載予定先は、

「(不)自由と(不)正義」平成20年6月号だったそうである。

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