いわゆる谷間世代の会費減額問題~その3~2018年1月17日投稿

2020年2月10日 0 投稿者: sakano

 先日の常議員会で、再度、谷間世代の会費減額問題について討議がなされた。

 ちなみに、前回の常議員会では、司法修習費用給費制緊急対策大阪本部が谷間世代の会費減額に反対の答申を出しており、財務委員会は賛否については高度な政策的判断だということで賛否留保、少なくとも賛成はしていない。

 また、今回の常議員会までの間に、司法改革検証・推進本部からの答申があり、やはり会費減額を行うべきではないという答申が出されていた。

 つまり、執行部が諮問した委員会等からは、「谷間世代救済のために会費減額を行う」という執行部案に賛成の答申は出ていないようなのだ。

 しかし、執行部は谷間世代の会費減額を実行しようとする案を臨時総会に提出する議案を撤回しようとしない。執行部自身が必要と考えて諮問した委員会(いわば現場の最前線)が賛成していない案であるにもかかわらず、反対意見を無視してまで何故強行しようとするのか、とても疑問に思えた。

 小原会長が、担当副会長に続いて日弁連等の動きも含めて説明をしたが、その内容は概ね以下のようなものだった(不十分な手控えによるものなので、どこまで正確なものかははっきりしないことにご注意。詳しくは議事録を参照されたい。)。

 すなわち、給付金制度が実現出来たのは、法曹人材の確保が立法事実として説得力があったからで、給付金と引き替えに弁護士の社会貢献義務の提案もあったが、なんとかそれを抑えることができた状況にあった。

 その上で、法曹三者の協議と国会議員との攻防の末、谷間世代には遡求して給付金制度を適用しないことが附則で定められた。

 給付金制度の創設により、司法予算が増やされるわけではなかったため、司法予算が食われてしまい、法曹三者の信頼関係の再築が問題にすらなっている。

 日弁連は、谷間世代の抜本的救済を求めてはいるが、谷間世代とその他の世代の不公平・不平等では立法事実としては不足であり国会議員を説得出来ない。また貸与金返済に起因する弁護士活動の困難化の主張も立法事実としては不十分であるといわざるを得ない。

 そこで、弁護士会としては、統一的連続的な法曹養成の基盤の問題として谷間世代の救済を行うべきではないかと考えた。

 なお、給費制復活を目指す日弁連の対外的活動と、弁護士会内の救済措置は両立しうるという意見が日弁連で相当強くあった。

 大規模会である、東京3会(実施中)、大阪、京都(検討中)、福岡(検討中)の他、鳥取でも検討されており、鳥取の動きが全国的に広がるかもしれない。

 ・・・概ねこういう理由であったように思う。

 この説明に対して、司法修習費用給費制緊急対策本部等が反対している以上、取り敢えず総会には議案を提出して、総会できちんと議論出来る場を設定するように要望するという意見も出た。

 確かに、傾聴に値する御意見ではあるが、一度総会議案にされてしまえば、危ないと考えた場合には執行部が会派を動員して委任状集めをするし、多くの弁護士は無関心なのか、執行部は変なことはしないと信じているのか知らないが、執行部案に漫然と賛成票を投じるのが、少なくとも私のこれまでの経験だ。

 以前に一度、法曹人口問題に関して、執行部が当初の案から弱気な案に変更した際に、当初の案を貫くべきだとして賛成者を募って総会で戦ったが、大敗した。

 このことからも、会派動員による執行部側の委任状集めの圧倒的な力と、議案もおそらくほとんど検討せずに漫然と執行部を支持することで足りるとする層が多いことを、私は経験済みなのだ。

  だから執行部も、常議員会で総会に議案提出することを可決してしまえば、その議案は実行出来ると、ふんでいるはずだ。

 そもそも、国の施策で貸与制になった谷間の世代が、本来対応を求めるべき国に対してではなく、貸与制を導入したわけでもない所属弁護士会に対して、他の弁護士に会費負担の犠牲を強いてもいいから、自らを救ってくれと懇願するのだろうか。

 私が尋ねたところ、そのような谷間世代の要望に関する調査を、執行部が行ったことはどうやらないようだ。だとすれば、執行部の主張する谷間世代を救済する必要性は、勝手に執行部がそう考えているだけであって、なんの具体的な根拠も存在しないことになる。

 このように谷間世代が、具体的な声を弁護士会に対してあげていない段階で、谷間世代はきっとそう考えていると決めつけて、あるいは忖度して、他の弁護士の犠牲の下で、谷間世代の会費減額を強行することは、谷間世代に対する過保護である。

 そればかりではなく、「国に対して貸与制の問題を堂々と主張すべきであって、他の弁護士の犠牲を強いて行われる筋違いの救済など私は求めない」とお考えになる谷間世代の弁護士の方々もきっといるだろうが、その方々の矜持を汚す侮辱的な提案ともいえるのではなかろうか。

(続く)

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